著者:真保裕一

JR貨物に入った緊急の依頼。それは、自衛隊の特殊な燃料を青森から佐賀まで運ぶ、というもの。元運転士で運搬の推進本部補佐の井澄は、胡散臭いものを感じつつも、その輸送を開始する。一方、新聞社の青森支局に勤める戸倉佐貴子は、深夜の輸送に何かただならぬものを感じ、取材を開始する。そして、そんな中、架線事故が発生し……
なんか、途中までは面白かったんだけど……
物語は、輸送の鉄道に乗車して進む井澄。何か胡散臭いものを感じて、その行方を追う佐貴子。そして、その輸送されているものが核廃棄物である、という見込みから動く反原発組織の一員である尚美という3つの視点を通して綴られる。
自衛隊の特殊燃料である、という説明によって輸送を開始することになる井澄たち。しかし、そもそもの発端からして異例であるなら、いざ、輸送を開始しての動向も不可解。さらに、自衛隊の説明による液体燃料である、という説明とは裏腹に輸送しての感覚は固形物。自分たちは一体、何を輸送しているのか? 相手は、ただ輸送用の特殊なタンクが優秀だからというだけで不信感は募っていく。
一方の佐貴子は、その輸送されているものが核廃棄物ではないかと見て、その周辺を探っていく。そして、その輸送に関わっている企業。さらに、研究者と言った面々の業績などから、ますます、その確信を強め……。最後に尚美たちは、輸送を止めようと動いていく……。それぞれが、直接、何が輸送されているのかはわからない中、不信感はありつつも輸送を成功させるべく奔走する井澄。その正体に迫ろうとする佐貴子。
実際、原発関連などについて、本当に情報は開示されているのか? しっかりとした安全性は確保されているのか? それでなくとも、政府などが情報などを隠したり、なんていうこともある中でそういう不信感があるのは確かだし、実際にあった不祥事などを下敷きに、疑惑などを高めていく、という途中までの展開はスリリングで面白かった。
ただ、先に書いたように、主人公たちは、それぞれ「何が運ばれているのか?」というのを知らない状態で進んでいく。その中で、きっと……と考えていく、というのはわかるのだけど、実際にその運ばれたものが何なのかを確かめる、とか、そういうシーンは皆無。にも拘わらず本人たちは確信して先に進んでいく様にちょっと気持ち悪さを感じるようになっていって気持ちが冷めていった。そして、その結末も……
そもそも、尚美たちが列車の走行を妨害して何をしたかったのかもよくわからないままだし……
情報源などについてのひっくり返し。その中での、一種の陰謀と言うのも明らかにはなるのだけど……そこまで上手くいくか? という部分もある。
途中まではどんどん盛り上がったのだけど、後半はちょっと失速してしまったな、というのが正直な感想。
No.6035

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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JR貨物に入った緊急の依頼。それは、自衛隊の特殊な燃料を青森から佐賀まで運ぶ、というもの。元運転士で運搬の推進本部補佐の井澄は、胡散臭いものを感じつつも、その輸送を開始する。一方、新聞社の青森支局に勤める戸倉佐貴子は、深夜の輸送に何かただならぬものを感じ、取材を開始する。そして、そんな中、架線事故が発生し……
なんか、途中までは面白かったんだけど……
物語は、輸送の鉄道に乗車して進む井澄。何か胡散臭いものを感じて、その行方を追う佐貴子。そして、その輸送されているものが核廃棄物である、という見込みから動く反原発組織の一員である尚美という3つの視点を通して綴られる。
自衛隊の特殊燃料である、という説明によって輸送を開始することになる井澄たち。しかし、そもそもの発端からして異例であるなら、いざ、輸送を開始しての動向も不可解。さらに、自衛隊の説明による液体燃料である、という説明とは裏腹に輸送しての感覚は固形物。自分たちは一体、何を輸送しているのか? 相手は、ただ輸送用の特殊なタンクが優秀だからというだけで不信感は募っていく。
一方の佐貴子は、その輸送されているものが核廃棄物ではないかと見て、その周辺を探っていく。そして、その輸送に関わっている企業。さらに、研究者と言った面々の業績などから、ますます、その確信を強め……。最後に尚美たちは、輸送を止めようと動いていく……。それぞれが、直接、何が輸送されているのかはわからない中、不信感はありつつも輸送を成功させるべく奔走する井澄。その正体に迫ろうとする佐貴子。
実際、原発関連などについて、本当に情報は開示されているのか? しっかりとした安全性は確保されているのか? それでなくとも、政府などが情報などを隠したり、なんていうこともある中でそういう不信感があるのは確かだし、実際にあった不祥事などを下敷きに、疑惑などを高めていく、という途中までの展開はスリリングで面白かった。
ただ、先に書いたように、主人公たちは、それぞれ「何が運ばれているのか?」というのを知らない状態で進んでいく。その中で、きっと……と考えていく、というのはわかるのだけど、実際にその運ばれたものが何なのかを確かめる、とか、そういうシーンは皆無。にも拘わらず本人たちは確信して先に進んでいく様にちょっと気持ち悪さを感じるようになっていって気持ちが冷めていった。そして、その結末も……
そもそも、尚美たちが列車の走行を妨害して何をしたかったのかもよくわからないままだし……
情報源などについてのひっくり返し。その中での、一種の陰謀と言うのも明らかにはなるのだけど……そこまで上手くいくか? という部分もある。
途中まではどんどん盛り上がったのだけど、後半はちょっと失速してしまったな、というのが正直な感想。
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