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サキュバスとニート ~やらないふたり~

著者:有象利路



「淫魔にいやらしく搾り殺されたい」 直球過ぎる願望のままにサキュバス召喚に成功した和友。だが、現れたのは一切、言うことを聞かないワガママなジャージ女。願いをかなえる気のない駄淫魔は、和友の部屋に住みつき、食う寝る食べるを享受するだけの居候と化してしまい……
うをっ!?
……なんか、感想の入り方としておかしい気がするけれども、最後まで読み終えて、そんな感じになった。
物語の大半は、ある意味、著者の十八番とも言えるような形。「いやらしく搾り殺されたい」という願いを抱いて召喚した引きこもりの和友。しかし、召喚されてきたサキュバスのイン子は、そういうことをする気は一切ない。日本語は喋れるが、なぜか漢字とカタカナだけ。そして、ただただダラダラするだけのダメ人間的な行動。しかも、社会常識とかに関してもちょっとズレているから……という状態。
そんな状態での、イン子のボケと、和友のツッコミ。なぜか、そんなイン子を快く受け入れる母の存在。そして、かつての和友の知人たち……
特に笑えたのは、今下さん関連かな?
高校を卒業後、退魔師をやっていた、という今下さん。和友に対して好感を持っており、イン子が……というのも承知している。しかし、何とかしようにも、ただ退治して、というわけにもいかず、それとなく和友とイン子を引き離そうとするが……。「たいまし」→「大麻師」→「反社会勢力!」という連想ゲームで和友らに警戒される存在に、ってだけで大笑いしたし、その後も引き離そうとしてなぜかツボを渡そうとして、アレな宗教の人と勘違いされたりとか、やることなすことすべてネガティヴな評価に繋がっていく展開には大笑いした。そんな感じで、ダメダメな二人の日常(?)で物語が綴られていって……
というところからの、物語終盤の展開。先に書いた今下さんなど、過去の知人がなぜ、和友を心配しているのか? 母子家庭でありながら、母親が自堕落な日々を送っている和友をなぜ許容しているのか? そして、和友がイン子を召喚した「願い」の真意……。そのまま、特に終盤の展開がなければ、そのまま読み飛ばしてしまうような部分が一気に伏線として機能してきて、というひっくり返しは素直にビックリ。そう来ますか……
うん、お見事!

No.6037

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Tag:小説感想電撃文庫有象利路

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