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推理大戦

著者:似鳥鶏



日本のある富豪が発見したという「聖遺物」。富豪は、聖遺物の所有権を賭けての推理勝負を企画する。アメリカ、ウクライナ、日本、ブラジル……。各国から、特殊な能力を持った名探偵たちが集まる。生物を巡る争奪戦が始まった……
物語は、まず4人の名探偵たちが、それぞれ事件を解決するエピソードが綴られ、そして、その名探偵たちがそろっての推理ゲームという形式で綴られる。
まずは、その各エピソード。1編目「アメリカ」。未解決の事件をいくつか持ってシャーロットという女性の元を訪れたFBI捜査官のデニス。出会ってすぐにシャーロットは推理を披露するのだが、実は名探偵は……まさしく、安楽椅子探偵という感じのエピソード。デニスからもたらされる情報を元に、プロファイリングが行われての解決。いくつかの事件があるだけに、文字通りにテンポ良く次々と解決されていく様が楽しい。そして、意外な名探偵も……。というか、シャーロットさん自身もかなりめんどいけど。
3編目の「日本」。椎堂が気づいたのはある警察犬が解決した事件。しかし、そもそも警察犬は、それぞれに役割が違っており、なぜ、いくつもの事件を解決しているのか? という疑問。いざ、警察犬と、そのハンドラーの元に行くと……。
お前なんかい! 思わず、椎堂さんと一緒にツッコミを入れてしまった。というか、1編目、2編目はまだ、人間の範疇だけど、この人はなぁ……。そういうのも含めて笑ってしまったのは確かなのだけど。
で、そんなこんなで、皆が一堂にそろっての推理合戦。雪深い北海道。コテージにそれぞれが並ぶ中で、主催者側の人間が密室状態で殺害され……
うーん……。特殊能力を持つ探偵たちが、それぞれの能力、その能力で発見した証拠を元に推理を展開していく。なんか、昔、『金田一少年の事件簿』でみたような推理とかが次々と。しかし、それぞれの能力、その証拠には落とし穴があって……での結末……
色々な名探偵が集まっての推理合戦。その辺りは面白いのだけど、結局、この形だと、それぞれの魅力が十分に発揮できていない、という感じがするんだよな。目的物である「聖遺物」を含めて、なんか、前半の4編に比べて本編のエピソードが弱く感じられてしまった。

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Tag:小説感想似鳥鶏

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