著者:伏尾美紀

大学院で博士号を取得しながらも、30歳にして警察官となった沢村依理子。事務職を経て、所轄の刑事課へ異動したある日、5年前に起きた未解決の誘拐事件で攫われた少女の遺体が発見された。沢村は、指導役である瀧本、奈良らと共に捜査を開始するが、思わぬ形でそれもまた未解決になってしまう。さらにそれからしばらく、札幌の中心地の所轄、生活安全課に異動した沢村は、その時の情報リーク事件で監察からマークされる存在になってしまう……
第68回江戸川乱歩賞受賞作。
まず、巻末に掲載されている選考委員の選評において、「拙い」というものが散見されるのだけど、これについては全面的に同意。勿論、選評は応募作時点であり、刊行された本作では、改稿もされているはずなのだけど、それでもっていう部分がある。
ポイントとしては2点。まずは、詰め込み過ぎ。そして、時系列や視点が入り組んでいて読みづらい。これは、どうしても感じてしまう。
物語はプロローグで、主人公の沢村が指導役である瀧本が普段とは違う様子を見せた姿に違和感を感じたシーンから始まる。そして、2018年、5年前に誘拐された少女の遺体が発見された事件を瀧本らと捜査する話になり、途中で今度は沢村は別の署に異動し生活安全課員となっている場面へ。しかも、瀧本らに「裏切られた」という思いを持っており、さらに道警のトップが保身も含めて情報漏洩について調べるというシーンへ。さらに、しばしば、沢村が大学院時代に感じた挫折なんていうものも……
序盤、その辺りが次々と出てくるので正直、混乱したし、読みづらかった。
……が、これまた選評の受け売りだけど、その中心である誘拐事件。これは魅力的。5年前に発生。犯人は身代金受取の最中に死亡。少女は行方不明のまま。そんな少女がなぜ5年後に、成長した姿で? そんな謎は魅力的。そして、沢村は、監察のマークなどを受けながらも事件に挑み……。ここも、多少、上手くいきすぎでは? と思う部分はあるものの、終盤の真犯人との対決とかは素直に面白かった。
先に書いたような部分とか、欠点とかを感じる部分はあるのだけど、でも、読み終えて乱歩賞受賞というのが納得できた、というのもたしか。
No.6053

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。
大学院で博士号を取得しながらも、30歳にして警察官となった沢村依理子。事務職を経て、所轄の刑事課へ異動したある日、5年前に起きた未解決の誘拐事件で攫われた少女の遺体が発見された。沢村は、指導役である瀧本、奈良らと共に捜査を開始するが、思わぬ形でそれもまた未解決になってしまう。さらにそれからしばらく、札幌の中心地の所轄、生活安全課に異動した沢村は、その時の情報リーク事件で監察からマークされる存在になってしまう……
第68回江戸川乱歩賞受賞作。
まず、巻末に掲載されている選考委員の選評において、「拙い」というものが散見されるのだけど、これについては全面的に同意。勿論、選評は応募作時点であり、刊行された本作では、改稿もされているはずなのだけど、それでもっていう部分がある。
ポイントとしては2点。まずは、詰め込み過ぎ。そして、時系列や視点が入り組んでいて読みづらい。これは、どうしても感じてしまう。
物語はプロローグで、主人公の沢村が指導役である瀧本が普段とは違う様子を見せた姿に違和感を感じたシーンから始まる。そして、2018年、5年前に誘拐された少女の遺体が発見された事件を瀧本らと捜査する話になり、途中で今度は沢村は別の署に異動し生活安全課員となっている場面へ。しかも、瀧本らに「裏切られた」という思いを持っており、さらに道警のトップが保身も含めて情報漏洩について調べるというシーンへ。さらに、しばしば、沢村が大学院時代に感じた挫折なんていうものも……
序盤、その辺りが次々と出てくるので正直、混乱したし、読みづらかった。
……が、これまた選評の受け売りだけど、その中心である誘拐事件。これは魅力的。5年前に発生。犯人は身代金受取の最中に死亡。少女は行方不明のまま。そんな少女がなぜ5年後に、成長した姿で? そんな謎は魅力的。そして、沢村は、監察のマークなどを受けながらも事件に挑み……。ここも、多少、上手くいきすぎでは? と思う部分はあるものの、終盤の真犯人との対決とかは素直に面白かった。
先に書いたような部分とか、欠点とかを感じる部分はあるのだけど、でも、読み終えて乱歩賞受賞というのが納得できた、というのもたしか。
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