著者:駿馬京

白鷺教授と共に向かった鳳仙華の元でひまりの前に現れたのは、かつての親友であった冬美。しかし、その様子はかつてのそれとは違っていた……。「鳳こと、茜谷深紅とは関わるな!」 白鷺教授に言われるひまりだったが、冬美のことが気になって仕方ない。そんな中、SNS・RootSpeak上で流行しているハッシュタグと共に、不可解な自殺が増加して……
分量に比べて値段が高い、ということで何となく予感していたのだけど……やっぱり、これで終わりか……
冒頭に変わり果てた冬美との邂逅という場面はあったものの、物語は一旦、そこから距離を置いて、若者の自殺事件について。有名人の自殺があり、それに触発されて……というようなケースならないわけではない。しかし、今回の自殺はそうではない。その中で、白鷺教授が目を付けたのが、「SeparationCatQuest」というハッシュタグ。元々は、SNSに猫の写真を載せて、癒されよう、というものであったが、「〇時に○○しよう」というような、文字通りの「クエスト」になりつつあった。そして、その手法というのは……
普通であれば、そのクエストを始めたのが誰なのか? というようなところも物語の焦点となるのだけど、これは前巻の段階で、鳳仙華こと、茜谷深紅である、ということはわかっている状態で始まる。そして、白鷺教授は既に、その手法の心理学的な意味とかを知っている状態なので、純粋な謎解きではない。けれども、その白鷺教授の解説、そして、そこから予想される茜谷の狙っていることの恐ろしさ。その部分での面白さで惹きつけられた。
実際、ここで描かれることって、色々と考えさせられる。自分の場合、ツイッターとブログが現在、利用しているSNSなのだけど、それぞれでやっぱり特色は異なるし、やっぱりそこで交流している人ってある程度、趣味とか志向とかが近い者同士。そのために、意見が内向きに、内向きに、ってなっていく部分がある。基本的には世間に対して開いているので、外部からの攻撃とかもあるけど、しかし、その中で却って頑なにっていく、なんていうのも目にしている。そういうところで、それを操る存在がいたとしたら……。ライトノベルという媒体ではあるのだけど、社会問題などを切り取った部分が十分にあるように感じる。
そして、それを食い止めるべく白鷺教授とひまりは立ち上がるが、そこに神村まゆらも加わって……
ちょっと終盤、バトルモノみたいになってしまった部分と、その黒幕である茜谷の掘り下げがもうちょっとあれば、と思う部分はある。
でも、キャラクターの魅力とか、そういうものを描きつつ、SNSで作られるコミュニティの危うさとかを描き切った、という意味ではやっぱり面白いシリーズだった。
No.6061

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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白鷺教授と共に向かった鳳仙華の元でひまりの前に現れたのは、かつての親友であった冬美。しかし、その様子はかつてのそれとは違っていた……。「鳳こと、茜谷深紅とは関わるな!」 白鷺教授に言われるひまりだったが、冬美のことが気になって仕方ない。そんな中、SNS・RootSpeak上で流行しているハッシュタグと共に、不可解な自殺が増加して……
分量に比べて値段が高い、ということで何となく予感していたのだけど……やっぱり、これで終わりか……
冒頭に変わり果てた冬美との邂逅という場面はあったものの、物語は一旦、そこから距離を置いて、若者の自殺事件について。有名人の自殺があり、それに触発されて……というようなケースならないわけではない。しかし、今回の自殺はそうではない。その中で、白鷺教授が目を付けたのが、「SeparationCatQuest」というハッシュタグ。元々は、SNSに猫の写真を載せて、癒されよう、というものであったが、「〇時に○○しよう」というような、文字通りの「クエスト」になりつつあった。そして、その手法というのは……
普通であれば、そのクエストを始めたのが誰なのか? というようなところも物語の焦点となるのだけど、これは前巻の段階で、鳳仙華こと、茜谷深紅である、ということはわかっている状態で始まる。そして、白鷺教授は既に、その手法の心理学的な意味とかを知っている状態なので、純粋な謎解きではない。けれども、その白鷺教授の解説、そして、そこから予想される茜谷の狙っていることの恐ろしさ。その部分での面白さで惹きつけられた。
実際、ここで描かれることって、色々と考えさせられる。自分の場合、ツイッターとブログが現在、利用しているSNSなのだけど、それぞれでやっぱり特色は異なるし、やっぱりそこで交流している人ってある程度、趣味とか志向とかが近い者同士。そのために、意見が内向きに、内向きに、ってなっていく部分がある。基本的には世間に対して開いているので、外部からの攻撃とかもあるけど、しかし、その中で却って頑なにっていく、なんていうのも目にしている。そういうところで、それを操る存在がいたとしたら……。ライトノベルという媒体ではあるのだけど、社会問題などを切り取った部分が十分にあるように感じる。
そして、それを食い止めるべく白鷺教授とひまりは立ち上がるが、そこに神村まゆらも加わって……
ちょっと終盤、バトルモノみたいになってしまった部分と、その黒幕である茜谷の掘り下げがもうちょっとあれば、と思う部分はある。
でも、キャラクターの魅力とか、そういうものを描きつつ、SNSで作られるコミュニティの危うさとかを描き切った、という意味ではやっぱり面白いシリーズだった。
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