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嗤う淑女 二人

著者:中山七里



都内の高級ホテルで開催された同窓会。その参加者17名が毒殺された。参加者であり、犠牲者の一人である国会議員・日坂浩一の手には「1」という文字が書かれた紙片が……。国会議員を狙ったテロか? 捜査を進める中、判明したのは現場に連続猟奇殺人に関与し、医療刑務所から逃亡した指名手配犯・有働さゆりらしき人物が現場にいたことが判明する。捜査陣が騒然とする中、今度は長野へのツアー中のバスが爆破される。その犠牲者の一人には同じ事態で「2」と書かれた真鍮製のプレートが……
……何コレ?
正直なところ、この話って何なの? という感じしかないのだけど……
物語は、高級ホテルでの毒殺事件。バスの爆破事件。小学校での放火殺人事件。フィットネスクラブの爆破事件……と次々とテロのような事件が連発。その被害者の一人の手には数字が書かれた紙片やプレートが。最初の事件現場の映像解析から、有働さゆりに疑惑が向き、各事件の生存者の証言もさゆりらしき人物を目撃はしていた。しかし、決定的な証拠は何もない状態。しかも、その数字を持っていた被害者の間に関連性も見えずに事件は暗礁に乗り上げる。一体、何の目的で事件が?
という風に警察側は事件を追っていく。
追っていくのだけど、実は、有働さゆりの裏側にもう一人、蒲生美知留という女がおり、彼女が事件を企画・立案している、というが序盤から読者には明かされていく。なので、読者の立場とすれば、何のために美知留は事件を起こしているのか? という部分で引っ張られる形になる。……が、警察側は、美知留の存在に終盤まで気づかないために、どうにも噛み合わない。そして、物語の終盤、警察が美知留の存在も意識し始めた頃、両者は対決することとなって……
一応、美知留の事件の目的というのは説明されはする。するのだけど、本当に簡単に「こういう理由で」というのが入るだけ。何よりも、事件そのものが一切、解決することなく物語が終わってしまう……。読み終わって、本当、「これ、何なの?」という感じだった。
『淑女』をタイトルとするシリーズの悪女・蒲生美知留と、『カエル男』シリーズに登場する有働さゆりが共闘。ついでに、他作品のキャラクターも色々と出てくる、という見せ場はあるのだが、ただ、それだけだった、という感想になるかな。

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Tag:小説感想中山七里

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