fc2ブログ

楽園の殺人

著者:越尾圭



本土よりはるか南方に位置する絶海の孤島・東硫黄島。人々の上陸が禁止され、独自の生態系を育むこの島に、東京学芸博物館の学芸員・蜂須賀をリーダーとする調査チームが調査のために上陸した。目的は島の生態系を調査すること。外来生物の侵入を防ぐため、厳重な準備と防護の末に入ったチームだったが、調査初日の夜、メンバーの一人が殺害される。それも、口に外来植物の種を詰め込まれる、というおぞましい姿で。調査船とも連絡がつかなくなり、ボートも使用不能。そんな中、さらなる事件が起きて……
上の粗筋では、上陸したのは学芸員たちだけ、みたいに書いたけど、チームの中にはリゾート会社の社員もいて、この島の開発とか、そういうものも計画の一つにある、という設定を最初に書いておこう。
で、物語なのだけど……うーん……
独自の生態系を持つ、外部から隔絶された島。だからこそ、外の生物が入ってしまうと、それが一気に崩れ去ってしまう危険性がある。植物の種子とか、昆虫の卵とか、そういうものはご法度だし、何なら人が来ている服についた細菌とか、そういうものにも気を遣わねばならない。それでも……という部分もある。そんな部分が一貫している物語であるのは長所と言えると思う。
ただ、なんか殺人と生態系の保全という部分があまり噛み合っていないような。
調査にやってきたけれども、その夜に一人が殺された。それも異常な形で。そんな中で物語の中心となるのは、メンバーの中の疑心暗鬼。元々の人間関係に殺人という異常事態に、そうなるのはわかるんだけど、生態系の保全とかとちょっとかけ離れているように感じる。さらに、外来生物の種子などを持ち込んだ人がいるわけだけど、そんなに簡単に持ち込めたのならば「厳重な準備、防護」って言っていたのがザルになっていないか? という感じ。その他にも、通信機器が消えてしまったりするわけだけど、こっちもそんなに簡単にできるだろうか? という気がしてならない。
リーダビリティ自体は高くて、テーマそのものも興味深いのだけど、全体的に設定が甘く、なおかつちょっと全体的に噛み合っていないという印象を受けた。

No.6071

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



Tag:小説感想越尾圭

COMMENT 0