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見知らぬ女子高生に監禁された漫画家の話

原案・イラスト:きただりょうま
著者:穂積潜



目を覚ますと見知らぬ天井、首には鎖の付いたチョーカー。包丁を携えた女子高生。こうして、僕の監禁生活が始まった。与えられる食事は、銀色のトレイに乗せられたサプリメント。「服を脱いで」とペットさならがに入浴をさせられる。あらゆることが、彼女に管理される日々。そんな中、日常と変わらないのは、漫画を描くための液晶タブレットだけで……
SNSで公開された漫画作品のノベライズ。監禁生活○日目、という形で1か月間の間の出来事を綴る形で物語は綴られていく。
冒頭に書いたように、気づけば女子高生に監禁されていた主人公。漫画家、という職業ではあるが現在は連載もなく、大スランプ中。監禁されている場所は引っ越したばかりの新居で、知り合いもいない。大声を出すなどすれば、周囲に気付いてもらえるかもしれないが、同じ部屋に彼女がいるためすぐに気づかれる。そうなれば……というのは火を見るよりも明らか。とにかく、彼女の機嫌を損ねること、それだけは避けねば……そんな形で生活は始まっていく。
その中で、俺に与えられた唯一の日常と言えるのは、漫画を描くためのタブレット。彼女の絵を描く。時には、ネイルに……。そうすると、なぜか彼女の表情は穏やかになる。……そうやって考えると、彼女はどこかで会ったことがあるような。さらに、24時間、こちらが呼べば(例えば、トイレに行きたい、とか)すぐに反応を返してくれる。女子高生のようだが、だとすると学校は……? そうして、彼女のために絵、漫画などを描いているうちに、描きたい、という欲求は強くなっていき……
ノベライズで、1巻完結ということになるとある程度は仕方がないのだろうけど、ちょっと展開が急展開すぎるかな? という気はしないでもない。序盤の、文字通り、死を覚悟するような状況から、女子高生がデレてというようなところまでが早いなぁ、と感じられてならなかった。流石に、そこまで急に感覚は変わらないだろう、と思えてしまう、ストックホルム症候群としても。
嫌いじゃないんだけど、できれば、上下巻くらいで、その辺りの心理描写の変化とかをじっくりと描いてくれればもっと入り込めたかな、という気がする。

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Tag:小説感想角川スニーカー文庫穂積潜

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