著者:望月拓海

花史とコンビ作家・園原一二三として活動を始めた大城了。仕事が増え始めた二人の元へ持ち込まれたのは長寿音楽番組『ミュージック・スターダム』の企画。『ミュージック・スターダム』だけでなく、そのスタッフが担当するオーディンション番組、深夜の音楽番組にも関わることになるのだが……
『これでは数字が取れません』の続編になる作品。
今回は基本、音楽番組を中心にした物語で、実質的に短編3編というような形。
第1話『アイドルはつらいよ』。アイドルのオーディンション番組を担当することになった了たち。同じく20代だという演出家・宝生真奏の協力を得てその撮影などをすることに。しかし、そのアイドル候補の一人である楠瀬夢依を落とし、大手プロダクションのメンバーで固めよう、という計画があることを知り……
第2話『歌姫はつらいよ』。深夜の音楽番組の担当をすることとなった二人。1年前にデビューし、WEBを中心に圧倒的な人気を獲得した愛宕瞳のドキュメントを担当することに。わがまま放題の瞳だが、了は辛抱強く彼女に付き合い、心を開いてきたと感じられたのだが……
第3話『日本一の音楽番組はつらいよ』以降。いよいよ『ミュージック・スターダム』のスペシャル放送に関わることになった一二三。ランキング企画のあおり映像を撮る必要が出たのだが、なかなか良い素材が手に入らない。そんな中、プロデューサーの梅林は……
タイトルに「ヤラセ」とあるけど、2話目だけは普通の話かな? わがまま放題の歌姫・瞳。そんな瞳の作る曲の歌詞は、誰かに認められない、誰かに見てほしい、というもの。そんな中で、突如として心を閉ざしてしまう。一体、何があったのか? まぁ、この話のキモは何となくわかったのだけど、花史の掘り下げとか、そういうものもあり、予想通りではあったけど綺麗にまとまっていたな、という感じがする。
そして、1話目と3話目以降の話に出てくる「ヤラセ」を巡る話。実際のテレビ番組に関してもよくある話なのだけど、確かによくよく考えると……って感じはする。1話目の視聴者参加型のオーディションで誰かを意図的に落とすような編集を、というのは完全に捏造。では、ランキングの煽りは?
演出とヤラセというのは紙一重。ただ淡々と撮れたものを映しても面白くない。しかし、仕込みでは? 仕込みではないけれども、でも、望んでいたものが獲れるまで取材を続けるのは? そうやって考えていくとかなり厄介な問題。作中、了と花史がかなり迷うシーンがあるのだけど、その気持ちにすごく共感できる。
その一方で、作中の了たちが直面するパイの奪い合い。放送作家、番組と言ったものには限りがあり、それを奪い合うことになる。その中でいかに自分を売り込んでいくか。その争いの中で、気を張っていくしかない部分……
序盤で悪役みたいな形だった真奏が、途中からキャラが変わったように感じられた部分もあり、そこはちょっと気にはなったのだけど……
No.6104

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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花史とコンビ作家・園原一二三として活動を始めた大城了。仕事が増え始めた二人の元へ持ち込まれたのは長寿音楽番組『ミュージック・スターダム』の企画。『ミュージック・スターダム』だけでなく、そのスタッフが担当するオーディンション番組、深夜の音楽番組にも関わることになるのだが……
『これでは数字が取れません』の続編になる作品。
今回は基本、音楽番組を中心にした物語で、実質的に短編3編というような形。
第1話『アイドルはつらいよ』。アイドルのオーディンション番組を担当することになった了たち。同じく20代だという演出家・宝生真奏の協力を得てその撮影などをすることに。しかし、そのアイドル候補の一人である楠瀬夢依を落とし、大手プロダクションのメンバーで固めよう、という計画があることを知り……
第2話『歌姫はつらいよ』。深夜の音楽番組の担当をすることとなった二人。1年前にデビューし、WEBを中心に圧倒的な人気を獲得した愛宕瞳のドキュメントを担当することに。わがまま放題の瞳だが、了は辛抱強く彼女に付き合い、心を開いてきたと感じられたのだが……
第3話『日本一の音楽番組はつらいよ』以降。いよいよ『ミュージック・スターダム』のスペシャル放送に関わることになった一二三。ランキング企画のあおり映像を撮る必要が出たのだが、なかなか良い素材が手に入らない。そんな中、プロデューサーの梅林は……
タイトルに「ヤラセ」とあるけど、2話目だけは普通の話かな? わがまま放題の歌姫・瞳。そんな瞳の作る曲の歌詞は、誰かに認められない、誰かに見てほしい、というもの。そんな中で、突如として心を閉ざしてしまう。一体、何があったのか? まぁ、この話のキモは何となくわかったのだけど、花史の掘り下げとか、そういうものもあり、予想通りではあったけど綺麗にまとまっていたな、という感じがする。
そして、1話目と3話目以降の話に出てくる「ヤラセ」を巡る話。実際のテレビ番組に関してもよくある話なのだけど、確かによくよく考えると……って感じはする。1話目の視聴者参加型のオーディションで誰かを意図的に落とすような編集を、というのは完全に捏造。では、ランキングの煽りは?
演出とヤラセというのは紙一重。ただ淡々と撮れたものを映しても面白くない。しかし、仕込みでは? 仕込みではないけれども、でも、望んでいたものが獲れるまで取材を続けるのは? そうやって考えていくとかなり厄介な問題。作中、了と花史がかなり迷うシーンがあるのだけど、その気持ちにすごく共感できる。
その一方で、作中の了たちが直面するパイの奪い合い。放送作家、番組と言ったものには限りがあり、それを奪い合うことになる。その中でいかに自分を売り込んでいくか。その争いの中で、気を張っていくしかない部分……
序盤で悪役みたいな形だった真奏が、途中からキャラが変わったように感じられた部分もあり、そこはちょっと気にはなったのだけど……
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