著者:中村啓

「この子は妊娠しており、そして、処女である」 4人の医師により、一人の少女が処女懐胎した、という話が広まった。人類史上、起きるはずのない事態に社会、さらに宗教界は騒然とする。その事件について、小比類巻率いるSCISと最上博士は「事件」についての捜査を開始するが……
シーズン1・完結編。
……ってことは、シーズン2もあるの?
完結編、ということもあってこれまでは1冊に3編~4編くらいを収録した短編集形式だったけれども、今回は完全に長編作品。
処女のままに懐胎した。それは本当なのか? 勿論、それは疑わしい。しかし、四人もの産科医が診断をした結果でありどうやら事実らしい。だとすれば、それはどのように? 処女懐胎となれば、キリスト教など、その根幹を揺るがす事態になるわけで国際的にも注目を集める事件。しかも、最初の少女だけでなく、二人目の少女も現れる。そして、二人とも、同じ病にかかっていて……。その中で最上博士が考えたのが……
ある意味、このシリーズの根幹と言えるのが、人間が生命を生み出すこと。ある意味では、その集大成と言えるものなのかな?
今回の話で一番、印象的だったのは生物の進化。女性が自分だけで生殖をすることが出来る。これも進化と言える。では、その進化はどういう風に起こるのか? ダーウィンの進化論では、その生物たちの中で、個性(例えば、身体が大きい、とか耳が良いとか)を持ったものがいて、その特徴があるが故に生き残る。そして、生き残った者が交配されてその特徴がさらに……とされている。けれども、実際にそれで全く別の生物へ行きつくまでには気の遠くなるような代替わりが必要なはず。また、突然変異などで特徴を持つものが現れても、一匹、二匹いたところで種としてその後も生き残れるとは思えない。そうではなくて……というのは成程、というのを感じる。この作品で出てくる説。ある意味、現在の社会情勢を考えるとちょっと面白い時代なのかも、とも思えるし。
と、とりあえずの理由が明かされたところで、ではそれは誰によって仕組まれたものなのか? さらに、これまでのシリーズでも暗躍していたボディ・ハッカーズとの関係と、その裏にいると思われる榊原との決着へと繋がっていく。
研究者、学会でのイザコザとかそういうものとも繋がりつつ、一応、まとまってはいるのだけど、結構、アッサリと終わった感じはするかな? 一種のSF的な話という感じではなくなってしまったし(榊原との決着部分は映像とかで見るとインパクトがあると思うけど)、ボディ・ハッカーズのリーダー・カーンとかの意図とかも何となく消化不良感が残った。
ただ、シリーズを通して、ちょっと極端だけど、でも科学技術の進化で起こるんじゃないか? というドキドキ感を感じさせる楽しいシリーズだったのは間違いない。
……シーズン2、本当にあるんだよね?
No.6107

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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「この子は妊娠しており、そして、処女である」 4人の医師により、一人の少女が処女懐胎した、という話が広まった。人類史上、起きるはずのない事態に社会、さらに宗教界は騒然とする。その事件について、小比類巻率いるSCISと最上博士は「事件」についての捜査を開始するが……
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……ってことは、シーズン2もあるの?
完結編、ということもあってこれまでは1冊に3編~4編くらいを収録した短編集形式だったけれども、今回は完全に長編作品。
処女のままに懐胎した。それは本当なのか? 勿論、それは疑わしい。しかし、四人もの産科医が診断をした結果でありどうやら事実らしい。だとすれば、それはどのように? 処女懐胎となれば、キリスト教など、その根幹を揺るがす事態になるわけで国際的にも注目を集める事件。しかも、最初の少女だけでなく、二人目の少女も現れる。そして、二人とも、同じ病にかかっていて……。その中で最上博士が考えたのが……
ある意味、このシリーズの根幹と言えるのが、人間が生命を生み出すこと。ある意味では、その集大成と言えるものなのかな?
今回の話で一番、印象的だったのは生物の進化。女性が自分だけで生殖をすることが出来る。これも進化と言える。では、その進化はどういう風に起こるのか? ダーウィンの進化論では、その生物たちの中で、個性(例えば、身体が大きい、とか耳が良いとか)を持ったものがいて、その特徴があるが故に生き残る。そして、生き残った者が交配されてその特徴がさらに……とされている。けれども、実際にそれで全く別の生物へ行きつくまでには気の遠くなるような代替わりが必要なはず。また、突然変異などで特徴を持つものが現れても、一匹、二匹いたところで種としてその後も生き残れるとは思えない。そうではなくて……というのは成程、というのを感じる。この作品で出てくる説。ある意味、現在の社会情勢を考えるとちょっと面白い時代なのかも、とも思えるし。
と、とりあえずの理由が明かされたところで、ではそれは誰によって仕組まれたものなのか? さらに、これまでのシリーズでも暗躍していたボディ・ハッカーズとの関係と、その裏にいると思われる榊原との決着へと繋がっていく。
研究者、学会でのイザコザとかそういうものとも繋がりつつ、一応、まとまってはいるのだけど、結構、アッサリと終わった感じはするかな? 一種のSF的な話という感じではなくなってしまったし(榊原との決着部分は映像とかで見るとインパクトがあると思うけど)、ボディ・ハッカーズのリーダー・カーンとかの意図とかも何となく消化不良感が残った。
ただ、シリーズを通して、ちょっと極端だけど、でも科学技術の進化で起こるんじゃないか? というドキドキ感を感じさせる楽しいシリーズだったのは間違いない。
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