著者:内藤了


数々の殺人の果てにテロを企む「CBET」。彼らが狙うのはセンターにかくまわれているプロファイラー・中島保の技術。さらに、それ以外にも彼らが狙っているものがセンターにあることに気付く比奈子たち。CBETのリーダー・ミシェルの情報を探る中、比奈子はセンターで培養される佐藤都夜の脳と対峙することになり……
シリーズ本編完結編。……スピンオフがもう一作あるけれども……
まず読んでいて思ったのは、シリーズ完結編っぽいスタートを切ったな、というところ。これまでのシリーズだと、冒頭に衝撃的な事件が起こり、それを捜査する中で、という形なのだけど、今回はそういう事件は起こらず、比奈子をはじめ、捜査班の面々が、CBETの目的などについて考察するというシーンが続く。その中で、センターの中にも、CBETの人間が潜入していることを知る。また、死んだはずの鑑識官・三木の妻・麗華の知り合いが歩いていた、という情報までもが……。一方で、自分たちが狙われていることを知ったセンター内の中島や永久もまた情報を集めていた。そんなとき、ジョージが……
永久の登場辺りから、猟奇殺人というよりも、オーバーテクノロジーな技術などを中心に、それを奪ってテロを目指すCBET。それに対抗する比奈子たち、という構図になっていった感じがする本シリーズ。ミシェルが潜伏をするのに使った方法とかは、まるで『ルパン三世』って感じだし、また、死んだはずの佐藤都夜の脳が培養されていて、その脳と会話ができるとか、流石に壮大すぎないか、という感じはする世界になっていたのは確か。
ただ、最終巻になって、当初は、ただ情緒不安で、っていう永久が中島らとの行動によりバランス感覚の良い少年に成長。また、ジョージは、自分の命が……という状況になったことで、母親の呪縛から解き放たれる。それは、石上にとっても思うところが……。そして、比奈子は中島とのことについて、永遠に結ばれないことを実感する。シリーズを重ねることによって、各キャラクターが成長したり、関係性の変化しているのがしっかりと感じられた。特に、石上、厚田、ジョージの関係性については、スピンオフ2作を使って描いただけに、この結末は印象に残る。
正直なところ、CBETのリーダー・ミシェルとの対決とかに関しては、作中の事件の規模に反して、大分あっさりと終わった感じだし、もうちょっと掘り下げても良かったんじゃないかな、とも思ったのだけど、最終的に、上に書いたキャラクターたちの想いの交錯の物語の決着という形で着地したのだな、というのがよくわかる。事件の決着よりも、そちらの印象が強かった最終巻という感じかな、と。
No.6112 & No.6113

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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シリーズ本編完結編。……スピンオフがもう一作あるけれども……
まず読んでいて思ったのは、シリーズ完結編っぽいスタートを切ったな、というところ。これまでのシリーズだと、冒頭に衝撃的な事件が起こり、それを捜査する中で、という形なのだけど、今回はそういう事件は起こらず、比奈子をはじめ、捜査班の面々が、CBETの目的などについて考察するというシーンが続く。その中で、センターの中にも、CBETの人間が潜入していることを知る。また、死んだはずの鑑識官・三木の妻・麗華の知り合いが歩いていた、という情報までもが……。一方で、自分たちが狙われていることを知ったセンター内の中島や永久もまた情報を集めていた。そんなとき、ジョージが……
永久の登場辺りから、猟奇殺人というよりも、オーバーテクノロジーな技術などを中心に、それを奪ってテロを目指すCBET。それに対抗する比奈子たち、という構図になっていった感じがする本シリーズ。ミシェルが潜伏をするのに使った方法とかは、まるで『ルパン三世』って感じだし、また、死んだはずの佐藤都夜の脳が培養されていて、その脳と会話ができるとか、流石に壮大すぎないか、という感じはする世界になっていたのは確か。
ただ、最終巻になって、当初は、ただ情緒不安で、っていう永久が中島らとの行動によりバランス感覚の良い少年に成長。また、ジョージは、自分の命が……という状況になったことで、母親の呪縛から解き放たれる。それは、石上にとっても思うところが……。そして、比奈子は中島とのことについて、永遠に結ばれないことを実感する。シリーズを重ねることによって、各キャラクターが成長したり、関係性の変化しているのがしっかりと感じられた。特に、石上、厚田、ジョージの関係性については、スピンオフ2作を使って描いただけに、この結末は印象に残る。
正直なところ、CBETのリーダー・ミシェルとの対決とかに関しては、作中の事件の規模に反して、大分あっさりと終わった感じだし、もうちょっと掘り下げても良かったんじゃないかな、とも思ったのだけど、最終的に、上に書いたキャラクターたちの想いの交錯の物語の決着という形で着地したのだな、というのがよくわかる。事件の決着よりも、そちらの印象が強かった最終巻という感じかな、と。
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