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チヨダク王国ジャッジメント 姉と俺で異世界最高裁判所

著者:紅玉ふくろう



ゲーム好きの高校生・アクトと、その姉で裁判官であるツカサが召喚されたのは、日本の文化を模倣した異世界の国・チヨダク王国。王女であるエクスタシアから、この国の民を正しくお裁きする裁判官になってほしいと依頼され、早速、難題となっていた殺人罪に問われた勇者の裁きに関わるのだったが……
第16回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞受賞作。
裁判というのを題材にし、裁判におけるアレコレをわかりやすく解説しつつ……という作品。ただ、こういう作品だと検察官か、弁護士を主人公に、という作品が定番の中、裁判官と言う切り口がまず斬新だな、というのを思う。
まあ、物語の根底にある部分については面白い。国の司法の基準とも言える裁判、それを支える裁判官。裁判官が国民から信頼をされていないと、その制度は成り立たないし、そのために色々とせねばならない、っていうのは間違いない。そして、そのためにこうしなければならない、という説明などがわかりやすくされている、というのは素直に面白い。しかも、この作品世界の場合、日本を模倣しているものの、しかし、それは形だけなので、そういうルールとかを王女を始めとした国民側もわかっていないから、というのもうまく機能していると思うし。
ただ、読んでいて思うのは、アクト、ツカサの立ち位置が裁判官というよりも弁護士、検察官という立場よりの話の進め方だな、というのと……、そもそものチヨダク王国の法体系がイマイチ曖昧なので都合よく回っている感があるということ。日本の法体系を模倣している、ということではあるのだけど、魔法とかもある世界なので、そのままでは適用できないだろうし。特に、物語のメインとなる勇者の話に関しては、主人公のアクトが完全に弁護側に傾いての動きをしているとか、公平か、っていう風に思える部分も……
分かりやすくするために、かなりデフォルメしているのは間違いないし、裁判官と言う立場だからこそできることがある、というメッセージとかは良かったのだけど、作品の設定とか、そういうものをもうちょっと掘り下げてくれた方が納得できたかな、というのを思った。

No.6121

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Tag:小説感想MF文庫J紅玉ふくろう

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