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お電話かわりました名探偵です リダイヤル

著者:佐藤青南



早乙女廉がZ県警通信指令室に配属されて1年。その喋り声にファンがついたりという相変わらずの日々。そんな中、奇妙な事件がなぜか早乙女の元にかかってくる、というのも相変わらず。そんなとき、千里眼以上の万里眼と言われるいぶき先輩が電話を替わってくれて……
という連作短編シリーズ第2作。全5編を収録。
話の流れは、基本的に前作と同様かな?
1編目『宇宙人にさらわれた少年』。通信指令室にかかってきたのは、宇宙人に攫われてしまったから助けて、という少年のSOS。意識は呆然とし、ふわふわとした感覚がある。そして、奇妙なランプが……。勿論、少年が言うように宇宙人に攫われた、とは考えづらい、とすれば……? 少年はどこにいるのか? 何が起きているのか? 少年からの通話という限られた情報からそこへ繋げてしまういぶき先輩の「万里眼」がこれでもかと発揮された話のように思う。
2編目『撮り鉄に気をつけろ』。近頃、近所の鉄道を撮影するために集う者たちに悩まされている、という男から、その撮り鉄に大切な盆栽を壊された、という電話が。しかし、撮り鉄たちは、自分たちはやっていない、と訴えて……。こちらは事件の真相そのものは結構、シンプル。ただ、その中で通報した男の心情などが印象に残る。近所に出現する撮り鉄たちに対する苛立ち。アルバイト生活を続ける孫に対する苛立ち。そういうところが……。ただ、こういう話って根が深いものだと思うだけど、ちょっと綺麗に解決しすぎかな、という感じがする。
シチュエーションの奇妙さ、という点では『ひき逃げ犯は誰だ』。「ひき逃げされた」という男からの通報。その現場には、自分がぶつけてしまった、という人物が3人。それぞれが、自分に過失があり、その結果……という。そんな中、いぶき先輩は、その中で嘘をついている人物を見つけ……。ひき逃げ犯を自称する人間が3人という設定そのものが奇妙な上に、真実を言っていれば犯人のように思うけれども……と言う捻くれた謎解きが印象に残った。
そして、5編目。作中を貫くように少しずつ入ってくる「万里眼を出せ」という男からの電話に関する物語。
前作から登場している早乙女が好きだというミキが事件に巻き込まれて……。これまでのエピソードと違い、早乙女が危機に陥ったミキの通報に対応し続ける形の物語。勿論、いぶき先輩も、そこで得られた情報を使って推理をしたりはするのだけど、早乙女が好きだからこそ、その声が支えになる、というシチュエーション。その中で励ましたりする早乙女の成長というのが感じられるエピソードになっていた。そして、そんなミキに対して早乙女は、自分の本心を伝えるのだけど……
そのオチは予想していなかった! オチに大笑いした。

No.6126

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Tag:小説感想佐藤青南

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