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古書カフェすみれ屋とランチ部事件

著者:里見蘭



駅から少し歩いた商店街の外れにあるカフェ・すみれ屋。そこには、様々な不思議なことを抱えた客が訪れる。そんなとき、店内で古書スペースを経営する紙野君が「この本を買ってくれませんか」と本を差し出してきて……
という感じシリーズ第3作となる連作短編集。全4編収録。
1編目『割り切れない紳士たち』。店を訪れた客・掛川さん。最近、婚活をしている、という彼は一人の女性とデートをすることに。会話も弾み、良い感じになったのであるが、直後、その時の態度とは全く異なった断りの連絡が……。そんなとき、居合わせた別の客が、やはり同じようなことを経験した、と話に入ってきて……
ここで紹介されるのは『俳句いきなり入門』(千野帽子著) そこで紹介されていたのが、スタンド句会。有名な俳人の句を用意し、普通の句会のように句評を行う。句評を行うことで、俳人は自分でも気づいていない視点などを得られる。そのように、スタンド句会をすることで、その俳句についての様々な知見を得られる、というもの。まず、素直にこのアイデアは面白いな、というのがある。ある意味では、読書会とかと考え方は近いのだろうけど、自分で「これ」を選ぶことでより……というのは成程と感じられるし。
その上での真相。正直なところ、スタンドっていうのを題材にしたかった、ってことだけのようにも感じたのだけど、真相に関しては結構、重いものとかもあって、色々と考えさせられた。
この1編目もそうなのだけど、今作の場合、各編の事件と紹介される書籍が、あまり噛み合っていない感じがするものが多かった気はする。作品のちょっとした部分と、真相にリンクがある程度ばかりだったので。
そんな中で、3編目の『天狗と少女と卵サンド』。仕事をするため、幼い娘と新生活を始めた加納さん。そんなとき、娘は「さらいます」と書かれた「天狗の手紙」なるものを渡してきたという。手紙の筆跡は、どう見ても娘の字。これはどういうことなのか? 紙野君が渡してきたのは、藤子・F・不二夫の短編『ヒョンヒョロ』。
まず、作中でも語られているように、藤子・F・不二夫というと『ドラえもん』とか『お化けのQ太郎』みたいな優しい気持ちにさせる漫画を描いていた、というイメージ。けれども『ヒョンヒョロ』は、全く作風が異なる緊迫感のある話と、あっと驚かせる結末という意外性。そして、ストーリーと、娘が置かれている状況の繋がり。その双方がしっかりとかみ合った物語が面白かった。

No.6135

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Tag:小説感想里見蘭

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