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天使は炭酸しか飲まない

著者:丸深まろやか



人の顔に触れると、相手の想い人を見ることが出来る。そんな力を持つ明石伊緒は、恋に悩む人を応援する「天使」として活動を続けていた。そんなとき、学校の三大美人と呼ばれる同級生・柚月湊から相談を持ち掛けられる。それは彼女の極端な惚れ癖を治してほしい、というもので……
なかなか面白い展開だった。
学校の三大美女なんて言われ、しかし、周囲とはちょっと距離を置いている。ある意味ではミステリアスさが魅力と言える湊。しかし、実は……
伊緒はその超能力と言えるもので、相手の思い人を知ることが出来る。その時、普通、出てくるのは一人、せいぜい二人。しかし、湊から見えるのは20人を超える人数。惚れ癖がある、とは言え、なんでそんなに? しかも、調べるたびに相手が変わったり増減したり……。まずは、どういう条件で相手が入れ替わるのか、というのを調べることになる。
本当、ただ会話をしただけ、とか、そんな理由で増える相手。相手のタイプがこういう人、とかであればまだわからないではない。しかし、相手のタイプはバラバラ。しかも、親切にする、とかであれば相談相手である伊緒に惚れるはず。なのに、それはない。一体、何故なのか? その一方で、なぜ伊緒は、「天使」としての活動を続けているのか? 何のメリットもないのに……
伊緒の過去。湊が惚れる相手の条件。そうなってしまった理由。結構、ヒントがしっかりと描かれていることもあり、それぞれについてはある程度、読んでいる最中に想像することが出来るのだけど、それらを上手く組み合わせてまとめているな、というのを思う。伊緒の協力者である日浦、有希人なんて言う面々も良い味を出しているし。そして、理由は判明したが、しかし、という中、ある方法を思いつくが……
終盤の展開はちょっと強引な感じはある。そもそもが、三大美女だの何だのと言う外部の人間が作る格付けにそこまで振り回されるものだろうか? 気にする人はいるだろうけど、それをしたところで、本人の評価が、っていうことにはならないだろうし。物語をまとめる上で事件を、という狙いはわかるのだけど、ここまで極端なことをすればすぐにバレるし……って感じで、そこはもう少し工夫があっても良かったかな? という風に感じた。

No.6150

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Tag:小説感想電撃文庫丸深まろやか

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