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この△ラブコメは幸せになる義務がある。

著者:榛名千紘



高校2年に進級。天使のような美少女・春樹麗良とクールな美少女・皇凛華とクラスメイトとなったと喜ぶ周囲を余所に、矢代天馬は我関せずというつもりだった。だが、移動教室から戻った天馬の机には見覚えのない文庫本とそこに挟まれたポエミーなメモが……。そのメモにより、凛華は麗良を溺愛している、ということを知ってしまう。そんなきっかけから天馬は、凛華と麗良の仲を取り持つ手伝いをすることになるのだが……
第28回電撃小説大賞・金賞受賞作。
物語としては冒頭に書いた形で始まったのだけど、凛華から「麗良を傷つけたら許さない」という旨の言葉を聞いたことで、男にナンパされて困っている麗良を助けることに。すると、麗良は天馬に惚れてしまって……という三角関係が誕生してしまう。天馬は、凛華と麗良をくっつけたい。そのために、凛華と打ち合わせをするのだが、一緒に行動をしている、ということで麗良は二人の仲を疑い、しかし、麗良は天馬のことが気になる……とますます複雑な関係に。
というところでヘンテコな三角関係の物語ではあるんだけど、この作品を通して何よりも印象的なのは……
凛華さんのポンコツっぷり!
そもそも、授業中にエロ描写アリの百合小説と、そこに麗良への想いを綴ったメモを……って時点で大概なのだけど、よりにもよってそれを天馬の机に忘れてしまう。そして、天馬にバレた凛華がとったのは……どこのエロマンガのヒロイン待遇ですかいな! しかも、天馬を放っておいて、一人で勝手に盛り上がる形で。この時点で凛華のキャラクターが完全に確立したわけだけど、その後もとことんそのポンコツっぷりを発揮してくれる。
麗良と一緒にお昼を、というところで天馬が途中で退いて……のはずが、失敗。しかし、天馬を挟んだとはいえ、麗良と会話を沢山出来たから、と大喜び。遊園地のお化け屋敷で、天馬がはぐれてしまい、麗良と凛華が二人でいることで……ということを考えたのに、言い出しっぺの凛華自身がお化け屋敷が怖くてずーっと天馬にくっついていないと……という状況に。……どーやって、普段の学校での「クール」な外面を取り繕っているのやら……。読者としては、そのポンコツっぷりが楽しいのだけど。
その上で、天馬は、物凄く良い奴なんだよな。普段はあまり全力とかを出さないタイプだけど、凛華の麗良への想いを知り、逆に麗良の凛華への想いも知る。その結果、二人を幸せにしたいと考えるようになって……。ただ、終盤の事件によって凛華の心がますます複雑なことになりそうで、今後、さらに厄介なことになりそうだけど……
1巻の段階では、麗良については味覚音痴以外には、普通に「良い娘」という存在になっているのだけど、今後、別の面とかも出てくるのだろうか?

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Tag:小説感想電撃文庫榛名千紘

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