著者:辻寛之


違法ギリギリの囮捜査の末、麻薬の売人二人を逮捕し、薬物を注射されて意識を失っていた少女を保護した麻薬取締官の霧島彩。だが、取り調べに対し男たちは、保護をしたはずの女から購入したと自白。そして、その保護したはずの少女は直後に姿を消してしまう。それでも手柄は手柄。逮捕した大胡の勤めるホストクラブへの潜入捜査を行う彩だったが、そこに失踪したはずの少女が現れて……
シリーズ第1作となる作品。
まず、本作を読んでいて思うのは、主人公である彩が物凄く危なっかしい、ということだろうか。
麻薬取締官は、警察官とは違い、囮捜査というのも認められている。しかし、それはあくまでも法的な手続きを踏んだ上で。しかし、麻薬の根絶というのを目標にする彩は、そういう部分を軽視して暴走しがち。冒頭の捜査でも、暴走の末に自分自身が覚醒剤を注射されそうになってしまう。当然、上司からは大目玉を食らうわけだけど、再び行ったホストクラブへの潜入捜査で……
事件の裏で暗躍する中西悠を名乗る少女。なぜかホストクラブへの潜入捜査は事前にバレてしまっていた? ということは、捜査課の中に内通者が?
さらに周辺で立て続けに起きている薬物常習者の不可解な死。その死者が摂取していた通常の覚醒剤とは異なった成分。暗躍している少女が黒幕なのか? しかし、自身も常習者であるという彼女にそこまでの知識などがあるのか?
中盤以降、主人公である彩が、なぜそこまでに麻薬、覚醒剤などを憎んでいるのか、というのも明かさるため、彼女の暴走の理由にもだんだんと納得ができるようになっていく。しかも、内通者が身内にいるらしい、というものがあるから、彼女を止めようとする存在を素直に信じてよいのか、という迷いにも繋がっていく。本当、傍から見ていれば純粋に危なっかしいだけなのだけど、そうせざるを得ない状況へ上手く絡めていくというのは素直にうまいな、と感じた。そして、その真相……登場人物の中で、そういうことができるのは……と考えると見えてくるものはあるのだけどそこは仕方がないかな。
ともかく、この1巻目において彩は、暴走しがちで、ある意味では道化回しのような役回りに。その辺りも含めて、シリーズ化前提の物語と言うことになるのだと思う。今後、彩がどう成長していくのか、も含めてシリーズを追ってみたい。
No.6158

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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違法ギリギリの囮捜査の末、麻薬の売人二人を逮捕し、薬物を注射されて意識を失っていた少女を保護した麻薬取締官の霧島彩。だが、取り調べに対し男たちは、保護をしたはずの女から購入したと自白。そして、その保護したはずの少女は直後に姿を消してしまう。それでも手柄は手柄。逮捕した大胡の勤めるホストクラブへの潜入捜査を行う彩だったが、そこに失踪したはずの少女が現れて……
シリーズ第1作となる作品。
まず、本作を読んでいて思うのは、主人公である彩が物凄く危なっかしい、ということだろうか。
麻薬取締官は、警察官とは違い、囮捜査というのも認められている。しかし、それはあくまでも法的な手続きを踏んだ上で。しかし、麻薬の根絶というのを目標にする彩は、そういう部分を軽視して暴走しがち。冒頭の捜査でも、暴走の末に自分自身が覚醒剤を注射されそうになってしまう。当然、上司からは大目玉を食らうわけだけど、再び行ったホストクラブへの潜入捜査で……
事件の裏で暗躍する中西悠を名乗る少女。なぜかホストクラブへの潜入捜査は事前にバレてしまっていた? ということは、捜査課の中に内通者が?
さらに周辺で立て続けに起きている薬物常習者の不可解な死。その死者が摂取していた通常の覚醒剤とは異なった成分。暗躍している少女が黒幕なのか? しかし、自身も常習者であるという彼女にそこまでの知識などがあるのか?
中盤以降、主人公である彩が、なぜそこまでに麻薬、覚醒剤などを憎んでいるのか、というのも明かさるため、彼女の暴走の理由にもだんだんと納得ができるようになっていく。しかも、内通者が身内にいるらしい、というものがあるから、彼女を止めようとする存在を素直に信じてよいのか、という迷いにも繋がっていく。本当、傍から見ていれば純粋に危なっかしいだけなのだけど、そうせざるを得ない状況へ上手く絡めていくというのは素直にうまいな、と感じた。そして、その真相……登場人物の中で、そういうことができるのは……と考えると見えてくるものはあるのだけどそこは仕方がないかな。
ともかく、この1巻目において彩は、暴走しがちで、ある意味では道化回しのような役回りに。その辺りも含めて、シリーズ化前提の物語と言うことになるのだと思う。今後、彩がどう成長していくのか、も含めてシリーズを追ってみたい。
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