著者:中西鼎


先鋭化された科学捜査を行うために新設された警視庁刑事部捜査一課『科対班』。所轄から、その部署へと異動となった大村珠樹。彼女がコンビを組むこととなったのは、元大学准教授という異色の肩書を持つ葵野数則。イケメンであるが、稀代の変人である葵野と共に、珠樹は数々の事件に挑むことになって……
という連作短編形式の物語。
バディもの。天才的な知能を持つが、奇人変人の類である上司と、一般人の部下という組み合わせは、ある意味、王道の設定。その中で、葵野が数学者という設定がどういう意味を持っているのか、と期待したのだけど……ちょっと肩透かし気味かな、というのを正直なところ。
まぁ、数学の理論が様々な工学とかそういうものに応用されて……というのは間違いないのだけど、あまり数学だからという感じではない。また、変人というのも確かなのだけど、傲岸不遜とかそういうタイプではない(夢中になると、周囲が見えなくなるって程度) そういう意味で、これといったインパクトは感じられなかったかな? そんな中、あまり他人の心の機微とかがわからない葵野の弱点と言える部分を、珠樹がフォローしてという形で綴られていく。
一応、葵野の過去というものが、物語の中心になっていくのだけど、個人的にトリックが一番面白かったのは3編目『展開される爆発』かな? アパートの一室が爆発し、住人が死亡した。その部屋にはプロパンガスが充満し、そこにちょっとした刺激でついた火が引火し爆発した。しかし、プロパンガスなどは、ガス漏れがわかるように匂いがつけられている。爆発するほどに充満していたなら、匂いで気づくはず。なぜ、その状況に気付かなかったのか? 数学ってわけではないのだけど、ガスにつけられた匂いの正体。そして、それをどう取り除くのか? という部分は素直に面白かった。
そして、そんなこんなを経ての葵野の過去、彼はかつて、世間をにぎわせた連続殺人犯に恋人を殺されていた。そして、その連続殺人犯について調べていたジャーナリストの娘が誘拐されて……。誘拐事件そのものは解決するんだけど、物語としては凄く中途半端な感じ。
先に書いた3編目のトリックとか、各編のエピソードそのものは面白いと感じたものもあるのだけど、設定があまり活かされている感じはしなかったかな?
No.6161

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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という連作短編形式の物語。
バディもの。天才的な知能を持つが、奇人変人の類である上司と、一般人の部下という組み合わせは、ある意味、王道の設定。その中で、葵野が数学者という設定がどういう意味を持っているのか、と期待したのだけど……ちょっと肩透かし気味かな、というのを正直なところ。
まぁ、数学の理論が様々な工学とかそういうものに応用されて……というのは間違いないのだけど、あまり数学だからという感じではない。また、変人というのも確かなのだけど、傲岸不遜とかそういうタイプではない(夢中になると、周囲が見えなくなるって程度) そういう意味で、これといったインパクトは感じられなかったかな? そんな中、あまり他人の心の機微とかがわからない葵野の弱点と言える部分を、珠樹がフォローしてという形で綴られていく。
一応、葵野の過去というものが、物語の中心になっていくのだけど、個人的にトリックが一番面白かったのは3編目『展開される爆発』かな? アパートの一室が爆発し、住人が死亡した。その部屋にはプロパンガスが充満し、そこにちょっとした刺激でついた火が引火し爆発した。しかし、プロパンガスなどは、ガス漏れがわかるように匂いがつけられている。爆発するほどに充満していたなら、匂いで気づくはず。なぜ、その状況に気付かなかったのか? 数学ってわけではないのだけど、ガスにつけられた匂いの正体。そして、それをどう取り除くのか? という部分は素直に面白かった。
そして、そんなこんなを経ての葵野の過去、彼はかつて、世間をにぎわせた連続殺人犯に恋人を殺されていた。そして、その連続殺人犯について調べていたジャーナリストの娘が誘拐されて……。誘拐事件そのものは解決するんだけど、物語としては凄く中途半端な感じ。
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