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明日の狩りの詞の

著者:石川博品



東京湾に落下した隕石が原因で「外来宇宙生物」の住処となった東京。封鎖地区となった東京へと狩りに出かける西山リョートと幼なじみの久根ククミ、そして猟犬方ロボットのカイ。そんな彼らの前に美少女アンドロイドとそのマスターである宇宙人が現れる。大人になるための通過儀礼としての狩りに行くという宇宙人とパーティーを組み、大物狩りへ向かうが……
基本としては、外来宇宙人生物を狩り、それを料理して……という物語ではあるのだけど、かなり作りこまれているな、と感じる。
冒頭に書いたように、宇宙からの生物が繁殖してしまった世界(日本) そんな世界でリョートは、その生物を狩り、それを料理して食べる、という行為を趣味としている。その相棒と言えるカイ。そして、なぜかついてくるククミ。まず、言えるのは、この手の作品のキモともいえると思うのだけど、その料理の描写が美味そう、ということ。勿論、実在しない生物なのだけど、それを狩り、加工し……っていうのにリアリティを感じるところとか流石だな、と感じる。
その上で、狩りに対するプライドとか、そういうものも。外来宇宙生物に対する思いもあるけれども、しかし、一つの生物として殺したからには、というリョータと、ただ、宇宙外来生物を殺すだけの主義者には怒りを覚える。そんな描写が、前半には描かれている。そして、そんなときに出会った宇宙人。
そもそも、彼らが落とした隕石により地球の環境は変わってしまった。リョータ自身、その結果、故郷を追われた過去を持つ。その一方で、技術力などでは絶対に宇宙人に叶わない。だからこその怒りもある。しかし、その宇宙人は話をすれば、しっかりと話の通じる相手。だからこそ、協力をすることに……
「大人になるため」に狩りをする宇宙人。対して、自分の進路を決められないリョート。教師の言うように「狩り」で生計を立てるのはできない。ジビエ料理などで、って手はあるのだろうが、何かピンとこない。自分はいったい、何をしているのか? また、ククネもまた……。高校生ではあるが、学校に通っておらず、宙ぶらりんな状態。そんな悩みというのが明らかになりつつ、巨大な生物が潜むという東京の中心地へ向かい……
物語として、何が解決するとか、そういうわけではない。けれども、狩りを通し、自分自身が死の危機を迎えたりを通して、少し自分の状況を肯定的に見ることができるようになった。そんな終わり方もまた、アリなのかもしれない。

No.6269

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Tag:小説感想石川博品

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