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イーヴィル・デッド 駄菓子屋ファウストの悪魔

著者:七尾与史



1980年代前半。駄菓子屋に置かれたゲームに熱中する中学生の哲太。そんな彼の前に現れたのは最新ゲームである『ゼビウス』を攻略する転校生の珠代。意気投合した哲太たちは、珠代の歓迎イベントとして、仲の良い友達と、子供が失踪すると噂の心霊スポットのトンネルで入会の儀式を行うことに。ところが、その最中、仲間の一人が消えてしまって……
物語の舞台は1985年くらいの時代かな? 流石に、自分でも懐かしい、というよりも、まだ自分が知らない時代って感じだなぁ……。自分がファミコンとかやったころは、さすがに『ゼビウス』はファミコンの古典ソフトって感じだったし。……自分の年がバレる……。ただ、ゲームとか、パロディ……っつーか、パクりそのものがあったりとか、そういう何でもアリだった時代の雰囲気はよくわかる。
……それはともかくとして、物語は、その失踪事件について調べる、というものが中心に。
珠代の入会儀式の最中に消えてしまった仲間の少年。そのトンネルでは、過去にも失踪している子供が……。何しろ、哲太の親族の少年も過去にそこで失踪してしまっている。それはいったい、何が原因なのか? 調べる中で明らかになってきたのは、その駄菓子屋に置かれた『イーヴィル・デッド』というゲームをクリアした者だけ。ならば、と、珠代に攻略を頼むが、数日後に撤去されることが決まってしまい……
とにかく、その攻略をしなければ、という哲太たち。その一方で、そのゲームがどういうものなのか? 村で失踪してしまう少年が出る原因は何なのか? 村の過去の歴史の解明。さらには、そのゲームに何かが仕込まれているのではないか? という解析なども行っていって……。主人公である哲太たちが中学生であり、だからこその日常でのあれこれを綴りながらの展開は逆に現実的だな、と感じる。まぁ、テンポが悪い、という見方もできなくはないけれども、それでも、いろいろな要素を示し、それをしっかりと回収してまとめられるのは上手い。
ただ、終盤、事件の黒幕ともいえる存在が、わざわざ自分で正体を明かす意味って……という感じなのは気になったところ。確かに、その黒幕がいうように、その存在が仕掛けた仕掛けにはいろいろと欠点があった。でも、それがわかっているなら、だんまりを決め込んで次に改善すれば良いだけじゃなかったのかな? 哲太たちの味方の振りをして……。その辺りについて、哲太たちがハッキリと正体に気づいて追い詰める、みたいな感じでも良かったんじゃないかな? そこは、ちょっと気になった。

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Tag:小説感想七尾与史

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