431秒後の殺人
- 13, 2022 12:34
- や行、ら行、わ行の著者
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著者:床品美帆


駆け出しカメラマンの安見。彼に写真の楽しさを教えてくれた恩人である叔父が殺された。最重要容疑者である叔父の妻、その不倫相手にはしかし、アリバイが……。叔父の死の謎を解き明かすべく、安見は辻占いの達人が店主を務める六角法衣店を訪れるが……
というところから、安見、六角コンビが不可解な謎を解き明かす連作短編集。全5編を収録。
タイトルには「辻占」とあるのだけど、各編、物語は不可解な謎を論理的に解き明かす、というもので、「占い」という要素はほとんどない。そして、各編、ハウダニットを解き明かす、という共通点がある。
冒頭に書いた1編目の表題作。叔父は、妻と会い、別れた後、自分が撮影機材を置いていた建物の屋上からの落下物にぶつかって死んだ。妻は不倫をしており、妻に殺害されたように思えて仕方がないが、その事件の時はタクシーの車中にいた。ならば事故? しかし、どうにも腑に落ちない……。まぁ、このハウダニットの仕掛けに関しては素直に考えられている。ただ、よくよく考えるとかなり無理のあるトリックだよな、とも感じる。最後に、「もし……」とあるけど、それ以上に、これ、無差別殺人になってもおかしくないのでは……という気がしないでもない。
3編目『眠れる映画館の殺人』。映画を見に来た安見達。そこには、映画監督で、評論家としても活躍する人物が来ていた。だが、映画の上映中、映画館の最後尾の席にいたその監督が絞殺された。客の入りは悪く、安見にも、その客の動向は見えていた。そして、その結論としては不可能殺人ということになるのだが……
これも、かなりの力技なトリック。こちらは、無差別殺人になることはないけど、もし、その辺りに誰かが行ったら……。そこも計算してのトリックではあるのだろうけど、凄いんだけど、どうにも穴があるような気がしないでもない話ではあるかな?
個人的に一番、楽しめたのは5編目『立ち消える死者の殺人』。六角法衣店が競売に! なぜなら、十数年前に失踪した六角の母が連帯保証人となった債務が不履行で、それを返さねばならないため。六角の母は、入院中に突如として消えた。しかし、その後、なぜか連帯保証人となっていた。六角の母はなぜ消えたのか? なぜ、連帯保証人になったのか? そして、本当に生きているのか?
これまで、探偵役であった六角が店をあきらめている中で、何とか奮闘する安見。そして、その中で……。これまでの物理トリックではないこと。そして、何よりも六角の掘り下げ、というのがされた点がより印象に残った。
No.6280

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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冒頭に書いた1編目の表題作。叔父は、妻と会い、別れた後、自分が撮影機材を置いていた建物の屋上からの落下物にぶつかって死んだ。妻は不倫をしており、妻に殺害されたように思えて仕方がないが、その事件の時はタクシーの車中にいた。ならば事故? しかし、どうにも腑に落ちない……。まぁ、このハウダニットの仕掛けに関しては素直に考えられている。ただ、よくよく考えるとかなり無理のあるトリックだよな、とも感じる。最後に、「もし……」とあるけど、それ以上に、これ、無差別殺人になってもおかしくないのでは……という気がしないでもない。
3編目『眠れる映画館の殺人』。映画を見に来た安見達。そこには、映画監督で、評論家としても活躍する人物が来ていた。だが、映画の上映中、映画館の最後尾の席にいたその監督が絞殺された。客の入りは悪く、安見にも、その客の動向は見えていた。そして、その結論としては不可能殺人ということになるのだが……
これも、かなりの力技なトリック。こちらは、無差別殺人になることはないけど、もし、その辺りに誰かが行ったら……。そこも計算してのトリックではあるのだろうけど、凄いんだけど、どうにも穴があるような気がしないでもない話ではあるかな?
個人的に一番、楽しめたのは5編目『立ち消える死者の殺人』。六角法衣店が競売に! なぜなら、十数年前に失踪した六角の母が連帯保証人となった債務が不履行で、それを返さねばならないため。六角の母は、入院中に突如として消えた。しかし、その後、なぜか連帯保証人となっていた。六角の母はなぜ消えたのか? なぜ、連帯保証人になったのか? そして、本当に生きているのか?
これまで、探偵役であった六角が店をあきらめている中で、何とか奮闘する安見。そして、その中で……。これまでの物理トリックではないこと。そして、何よりも六角の掘り下げ、というのがされた点がより印象に残った。
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