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姫騎士様のヒモ2

著者:白金透



進まない迷宮の攻略と、改善しない自らの事情に焦るアルウィン。広がる太陽神信仰。そんな状況に振り回されるマシューの前に、近衛騎士隊の隊長・ヴィンセントが現れる。王都から治安維持のために派遣された近衛騎士隊だったが、ヴィンセントは妹・ヴァネッサの死について調べており、彼女と近しかったマシューを疑い始め……
なんというか、1巻でマシューがどういう存在なのか、というのをしっかりと描いた、ということもあり、今回はマシューの日常を描いた話なのかな? という印象。
冒頭にも書いたように、街へとやってきた近衛騎士隊隊長・ヴィンセント。町の治安維持がその目的ではあるが、同時に妹の死の謎を追っている。読者としては知っているように、ヴァネッサを殺害したのはマシュー。そして、ヴィンセントはマシューが怪しいと疑いの目を向ける。マシューとすれば、最終手段としてヴィンセントを葬る、という手もないわけではない。しかし、あまりにも近くでそのような事件が頻発するのはアルウィンに疑念を抱かせることになるし、それは、世間のアルウィンへの疑念にも繋がりかねない。そんな中、ヴァネッサの言動から、ヴィンセントのある真意を見抜き……
さらに、ギルドへと持ち込まれた聖骸布(?)を巡っての物語。さらには、アルウィン自身の話なども加わって……
1巻の時点で、マシューの行動原理が何に基づいているものか、というのが明らかになっているため、今回は、その行動原理に沿ってどう行動をするのか? その中で、(半分は自業自得もあるが)周囲からの疑いを受け、それを受け流しつつというスリリングなマシューの日常というのを楽しむ巻だった、という感じがする。先に書いたように、ヴィンセントに疑われたら、ヴィンセントを殺す、なんていう方策を思いつつも、それは最終段階。情報を引き出し、アルウィンを救う方法を探さねばならない。ただし、その場合もアルウィンの名誉とかを守りつつ……とか、制約の多さなんかも読めば読むほど目の当たりになってくるだけに。
ただ、そんな物語の中で、マシューにとっての仇敵ともいうべき太陽神が何を目指しているのか? とか、そういう謎も明らかになってきているわけで、今後への道筋も少しずつ見えてきた巻、ともいえるのかな、とも思った。

No.6282

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Tag:小説感想電撃文庫白金透

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