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ゾウに魅かれた容疑者 警視庁いきもの係

著者:大倉崇裕



いきもの係のメンバー・田丸弘子が失踪した。弘子の自宅を捜索した須藤はそこで動物園のチケットを発見する。それが弘子からのメッセージだと確信した須藤は、薄を伴ってその動物園へと向かい、その象舎に通っていたこと。そして、同じく通っている女性と親しくしていたことを知る。まもなく、弘子が偽造パスポートでラオスに連れ去られていることが判明し……
シリーズ第6作で、2作目の長編作品。
上の粗筋は、ネット書店の粗筋を参考に書いたのだけど、そういうのを知らずに読んだ自分としては、序盤は「あれ?」という感じ。
というのも、物語の冒頭から弘子が行方不明になって数日、というところで須藤だけでなく、警察内でのライバル的な日塔らも、弘子捜索に協力。さらに、弘子を探す中で須藤らへの襲撃事件が発生。読者としては、何で緊急事態みたいな状況になっているの!? という感じに。そういうのを排除すると、冒頭の粗筋みたいな展開になる、と……
で、物語としては弘子は動物園に通っていた。その動物園には、日本で最高齢で亡くなった象がいて、その象のファンと思しき女性と仲良くしていた。その女性にはラオスで行方不明になった息子がおり、弘子はその女性と勘違いされて拉致されたと推測される。そこで、須藤と薄はラオスへ。ただし、警察官が、となると相手に警戒されるため、二人も偽造パスポートで、しかも、観光客として。だが、その行き先でも事件が……
象の生態に関する蘊蓄。そして、その象の商業的利用(つまり、象牙)に関しての問題とかそういう部分での話は面白かった。面白かったのだけど、設定として観光客としてラオスに行って、とかで、半ば観光案内みたいな部分が多かったりとか、内容に対してやや冗長と感じる部分もあった。しかも、最初に書いたように、序盤はやや置いてけぼり気味な上に、この背景については前作『アロワナを愛した容疑者』と続いていて、その上で、著者の別シリーズのキャラクターが出てきて……とあるため、「一つの物語」としてはちょっとまとまりに欠けるような感じがしてしまった。
一応、作中での事件の解決とか、そういうのはされているのだけど、ちょっと、物語に十分に入り込めた、という感じではなかったかな?

No.6310

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Tag:小説感想大倉崇裕

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