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董白伝~魔王令嬢から始める三国志~5

著者:伊崎喬助



孫家と力を合わせ、天下無双・呂布を破った董白。だが、今いるのは都から離れた荊州・袁術の砦。長安へと戻るためには曹操領か、劉備領を通る必要があるが、それは困難な状況。そんな中、曹操軍が荊州へと侵攻を開始する。しかも、曹操軍は諸葛亮を探しているようで……? 一方、董白との戦いで敗れた呂布は異民族の村で目を覚ます。再起不能の重傷を負った彼を助けたのは、目に理知的な光をたたえた少女で……
ここで物語が一区切り、か……。ここからじゃないの? と思いつつ、しかし、ある意味では仕方がないと納得できるような部分。
そもそもが、黄巾の乱の混乱の中、政権を奪取し、政情を思いのままにした董卓の孫娘・董白になってしまったところから始まる物語。当然、史実のようにはならないように動いて……という物語。当然、歴史改編という状況になっているわけだが、そんな中で、曹操の動きがおかしい。当時はなかった紙幣を使い始め、近代的な経済政策を。さらに、諸葛亮を配下に加えるべく南進を開始する。当然、そんなことはあり得るはずがなく、その背景にいると思われるのは……
その一方での呂布。董白との戦いの中で、片足を失い手の指もまた……。明らかにわかる体力の低下。そして、愛馬・赤兎馬に突き付けられる「天下無双」からの転落。なぜ、自分を助けたのか? それでも、自らを助けた少女・エイとの交流が始まる。あくまでも董白への復讐を胸に誓いながらも……
作中で常に謎の動きをしていた美女・貂蝉の動きの意味。彼女の正体。一方で、南進してくる曹操をどうにかせねば、という危機感。そして、呂布……。物語の大きな謎だった部分が解決し、しかも、曹操を破るべく仕掛ける計略と戦いと、中身はかなり濃い目。でも、それ以上に印象に残るのは、呂布の存在かな? 物語の当初から、董白をバカにし、その武をもって天下無双を欲しいがままにしてきた男。しかし、そんな彼が、その武を失った。それでも、という思いがありつつも、しかし、エイ、異民族の面々との間で少しずつ変わっていく。そして、いざ、董白に復讐を果たす好機となったそのとき……
世界観そのものがどうなっているのか? というのが判明し、さらにもう一人の主人公としての呂布の存在感としっかりと楽しめた。こうなると、それを知ったうえで……となるはずなのに、ここで終わり、っていうのがなぁ……。
良いんですよ? すぐに第2部を開始してくれて。

No.6311

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Tag:小説感想ガガガ文庫伊崎喬助

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