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チルドレン・オブ・リヴァイアサン 怪物が生まれた日

著者:新八角



2011年3月11日。環太平洋沖に突如現れ、多くの犠牲を出して世界中の海域を支配したレヴィヤタン、通称レヴ。通常兵器では歯が立たないそれに対抗すべく、人類が開発したのはレヴの死骸から作られたギデオン。未成年者しか登場できないそれに乗り、犠牲者の遺骨を拾う作業を続ける少年・アシトと、その幼馴染・エリン。そんな彼らの前に国連軍のエリート・ユアが現れ……
物語冒頭に注釈として「東日本大震災を想起させる描写があります」というものがあり、実際、(地震はないものの)突如として津波が起こり、幼き日のアシトの姉が海へ……という描写から始まる。この部分が、ということなのだけど、これが強烈だからこそ、後の物語が印象的になる。
その事件から数年後。民間のギデオン会社で、その時に行方不明になった人々の遺骨を探すアシト。その目的は、自分のわがままのせいで海に飲み込まれた姉の影を追ってのもの。そして、そんな彼の前に現われたのがユア。いきなりの特訓などもあり、反発を覚えるアシト、エリンとユアだったが、任務などで戦う中で、信頼関係を育んでいって……
という風に書くと、バトルものの展開っぽいのだけど、むしろ、十代の若者の悩みとか、そういうものをメインに添えたような印象。
ギデオンに乗ることができるのは、十代くらいまで。それを生涯の仕事とすることはできない。アシトに思いを寄せているが、それを続けるべきなのか、ということに悩むエリン。そんなエリンの心配をよそに、ただ、姉のことを引きずり、目の前のことに引きずられ、流されるアシト。一方で、ギデオンの扱いについて存在する民間、地方、そして、国連といった格差。何をしてよく、何がダメなのか? そんなところに大きな差があり、それはシステムとして構築されているがゆえに何もできない。
何というか、子供だからこその無力感。流されるしかない状況。そんな中で、一人、ブレずに自分を保つアシト。そこが何よりも印象に残った。
そして、そういう状況にあるからこそ、アシトが行き着いた先……っていうのことになるのかな? という印象。

No.6322

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Tag:小説感想電撃文庫新八角

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