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処刑少女の生きる道7 ロスト

著者:佐藤真登



導師フレアとの決戦から半年。第一身分から追われる立場となったメノウたちは北の大地にいた。マヤの持つ1000年前の記憶によれば、北の空に浮かぶ四代人災・星骸の白濁液内に眠る情報がアカリを取り戻すためのカギとなるという。10年に1度の孵化。そのタイミングを狙って星骸へ向かうメノウだが、その前に最強の神官にして、白の代行者・異端審問官であるミシェルが立ちはだかる……
新章に突入しての巻。
今回は、サブタイトルの「ロスト」というのが強く意識されるなぁ……
主人公であるメノウは、これまでの「処刑人」という立場を失い、さらにアカリという存在をも失った状態。だからこそ、アカリを復活させるために、アビィ、マヤらとともに旅をしている。そして、それを追う第一身分たち。メノウという裏切り者が出た結果、「処刑人」という立場そのものの動きが出ており、それを阻止するために動き出す。一方、処刑忍廃止の最右翼であるミシェルもまたメノウを追う……。
それぞれが「喪失」したものを持っている、もしくは「喪失」の危機にある。その中での思い、というのがまず印象的。
そして、メノウ、アビィ、マヤが一緒に行動をしているのだけど、その中でマヤが別行動になってしまう。そんなマヤに迫る追手。そのとき、彼女が召喚したのは、新たな勢力の旗手となっているサハラ。
二手に分かれての話ではあるのだけど、このマヤ&サハラコンビの話が楽しい。かつて、メノウを狙った存在。しかし、メノウに敗れ、現実を突き付けられた。そんな中で、メノウが行動をする上でのスケープゴート的な存在になった。メノウが起こした功績は、サハラのものとされ、自分の知らないうちに有名人として持ち上げられる状態。一見、それは恵まれているように見えるが、それはそれで苦しい立場。そんな状況に辟易としているサハラと、それを利用しようとするマヤのヘッポコ旅というのは素直に楽しかった。そして、最終的には、しっかりと活躍もしてくれるし。
アカリを復活させる。そこへ向けて、それぞれが「喪失」を抱えた状態での各勢力の状況。そういう意味では、プロローグという感じかな? いきなりこの巻末で、モモが怪しい動きを見せているけど。

No.6325

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Tag:小説感想GA文庫佐藤真登

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