著者:三月みどり


「旅は一人に限る」 そんな信念を持ち、一人旅を趣味とする海人。そんな彼に、父の再婚によって同い年の妹・栞が出来た。旅館の若女将として働いていたため、旅に行ったことがなく、しかし、旅好きだった(実の)父の旅行記に憧れている栞は海人の旅への動向を求めるが、勿論、拒否。だが、栞の心情をおもんばかった海人は、それぞれが一人旅をする「二人一人旅」という形での旅にすることを了承するのだが……
色々と設定をぶっ飛ばしている、という気はする。でも、そこがメインではないので、あまり気にする必要はないのかな?
物語としては、冒頭の粗筋で書いた通り。
最初は、日帰りの日光。同じく日帰りの鎌倉。そして、函館への旅、という感じで進んでいく。
感想を一言でいうと、主人公の海人って、良い奴なんだけど、面倒くせぇ! ってところだろうか?
一人旅が趣味で、自分一人で自由気ままに動く。そして、その中で、自分が行こうと思っている場所に、というのが旅の醍醐味。だから、栞が一緒にというのは嫌。でも、栞の事情を知ってそれを無下にするのも……。だから「二人一人旅」。この時点で面倒くさい。でも、何だかんだで面倒見が良い。旅のこともそうだけど、学校で人付き合いに苦慮する栞を見て、バイトを紹介し、断る口実を用意をしてみたりとか……。そういう意味で、すごく良い奴なのだ、というのが伝わってくる。そして、そんなこんなを入れつつも、の旅……
「旅先では、好き勝手に」
というが、常に海人と一緒にいようとする栞。「それぞれ好きに」というと、栞の方は、「自分もこうしようと思っただけ」という形になり、結局、一緒に。こう書いてみると、実は、栞も面倒くさいんじゃ、という気もしてきたが、ともかく、そんなやりとりをしながら旅先を回ることに。この辺りはお約束かな? そういうやりとりを通して、それまでの「一人旅こそが」という海人が……という終わり方も、想定内だけど、綺麗にまとまっているし。
この作品、旅の描写。結構、アッサリ目には書いているけど、日光、鎌倉、函館といった街の魅力とかが描かれており、行ってみたいなという気分にさせてくれるのは上手い。そういう意味では、結構、旅行記的な部分もあるのかな? 劇的な展開とかがあるわけじゃない。でも、抜群のリーダビリティと、その中でのやり取り。旅行先の描写。そういうのが読んでいて心地よい作品だった。
No.6327

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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「旅は一人に限る」 そんな信念を持ち、一人旅を趣味とする海人。そんな彼に、父の再婚によって同い年の妹・栞が出来た。旅館の若女将として働いていたため、旅に行ったことがなく、しかし、旅好きだった(実の)父の旅行記に憧れている栞は海人の旅への動向を求めるが、勿論、拒否。だが、栞の心情をおもんばかった海人は、それぞれが一人旅をする「二人一人旅」という形での旅にすることを了承するのだが……
色々と設定をぶっ飛ばしている、という気はする。でも、そこがメインではないので、あまり気にする必要はないのかな?
物語としては、冒頭の粗筋で書いた通り。
最初は、日帰りの日光。同じく日帰りの鎌倉。そして、函館への旅、という感じで進んでいく。
感想を一言でいうと、主人公の海人って、良い奴なんだけど、面倒くせぇ! ってところだろうか?
一人旅が趣味で、自分一人で自由気ままに動く。そして、その中で、自分が行こうと思っている場所に、というのが旅の醍醐味。だから、栞が一緒にというのは嫌。でも、栞の事情を知ってそれを無下にするのも……。だから「二人一人旅」。この時点で面倒くさい。でも、何だかんだで面倒見が良い。旅のこともそうだけど、学校で人付き合いに苦慮する栞を見て、バイトを紹介し、断る口実を用意をしてみたりとか……。そういう意味で、すごく良い奴なのだ、というのが伝わってくる。そして、そんなこんなを入れつつも、の旅……
「旅先では、好き勝手に」
というが、常に海人と一緒にいようとする栞。「それぞれ好きに」というと、栞の方は、「自分もこうしようと思っただけ」という形になり、結局、一緒に。こう書いてみると、実は、栞も面倒くさいんじゃ、という気もしてきたが、ともかく、そんなやりとりをしながら旅先を回ることに。この辺りはお約束かな? そういうやりとりを通して、それまでの「一人旅こそが」という海人が……という終わり方も、想定内だけど、綺麗にまとまっているし。
この作品、旅の描写。結構、アッサリ目には書いているけど、日光、鎌倉、函館といった街の魅力とかが描かれており、行ってみたいなという気分にさせてくれるのは上手い。そういう意味では、結構、旅行記的な部分もあるのかな? 劇的な展開とかがあるわけじゃない。でも、抜群のリーダビリティと、その中でのやり取り。旅行先の描写。そういうのが読んでいて心地よい作品だった。
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