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夢探偵フロイト アイスクリーム溺死事件

著者:内藤了



単位取得の目途、さらに内定も。残すは卒業論文だけになったあかね。そんなあかねら、夢科学研究所にやってきたのは、元「夢売り」であり、その騒動の中で研究所に放火をした卯田姫香。その事件の後、彼女は毎晩のように悪夢を見るようになってしまったのだという。生まれつきの人殺し、だという姫香の、最初の殺人現場だというのだが……
シリーズ第4作。
前作に続いて、比較的、地味な展開になったけれども、その分、じっくりと考察とかに力を入れたな、という印象。
前作の黒幕であった姫香の依頼。それは、彼女が罪悪感からか見るようになった夢。その夢の内容は、パステルカラーに彩られたメルヘンな世界でのこと。そこにあるお菓子の家での出来事。それは、その家で行われたパーティーで男の子がアイスクリームで溺死する、という事件の記憶。
そんなところが、物語の発端となるのだけど、そこからは地道な調査へ。
姫香の夢に出てくるパステルカラーの街。そこに、何かモデルとなるものがあるはず。パステルカラーをモチーフにした町はあるのか? 幼いころの記憶がない、という姫香だが、その名字などの情報から、この地域に多いから、と絞っていく。そんな仮定の中から、姫香も過去のことを思い出し、さらに情報は絞られていく。そして、その姫香が実際に住んでいた場所の近くに、そんな町があることを突きとめる。さらに、その街での出来事などを調査し始め、フロイトが見つけ出した真相は……
その辺りの流れもしっかりとしているのだけど、個人的には、このパステルカラーの街を発見し、いざ、実地で調査を、というところでのやりとりが印象的。
パステルカラーで印象的な街の外観。それは、とあるデベロッパーが意図してそういう地域を造成して、というものだった。しかし、時間が経過した今、その街の雰囲気は……。街というものの成長。ライフスタイルの変化。住む人々の変化。それらは確実に存在する。その変化によって、当初とは全く違う状況になってしまう。また、当然のことながら「家」というのもメンテナンスなどが必要な消費材である。そういうときに……。著者は、建築関連の出身なのだけど、その経験とかを感じられたアレコレも面白かった。

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Tag:小説感想内藤了

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