著者:朝永理人


不意に停止した自然公園の観覧車。結果的に閉じ込められたのは6組の乗客たち。それぞれ、訳ありな乗客たちは、停止したゴンドラの中で頭を働かせて……
物語は、そんな観覧車のゴンドラに閉じ込められた6組の面々の様子を描くことで綴られる。
停止したゴンドラの中に、そこで殺された女性の幽霊が現れ、自分を殺した犯人がどうやって逃亡したのか考えてほしい、という車田。娘と共にゴンドラに閉じ込められた御館。ゴンドラからの暗殺を企図した暗殺者と、なぜかそこに付いてきた依頼人の少女。ゴンドラの中で糸口に告白したものの断られてしまった小針(そして、ゴンドラ停止) 友人同士で乗っていた二人の少女。酔いつぶれて寝ている間にゴンドラに乗せられ、気づけば目の前には時限爆弾が……という寿久。そんな6組。
それぞれ、色々な事情を抱えていて、車田、寿久辺りは冒頭からわかりやすく謎が提示される。一方で、その状況になって暗殺者は、なぜ依頼人が付いてくるのか? という疑問が浮かんでくる。また、糸口&小針、御館父娘、少女二人は何気ない会話をしているのだけど、そこで謎が提示されてくる。
それぞれの事情。それぞれのエピソードでの謎解き。それは素直に面白いと思う。車田が幽霊から依頼された謎解きは素直に本格ミステリのそれだし、暗殺者が、依頼人の少女が同行した理由を考えての結論とかも綺麗にまとまっている。さらに言えば、寿久の爆弾の話についてのひっくり返しにも「うわっ!」という感じ。それぞれについて、面白かった。
……のだけど、作中の同時進行という構成にする必要があったのかな? というのを思うのだ。
特に、それぞれのエピソード終盤で、それぞれの主人公が、それぞれの謎を解き明かすシーン。ハッキリ言えば、読みづらかった。
というのも、それぞれのエピソードが、数行でひたすらに溜めに溜めて、という感じで場面展開していくため。4行~5行くらいの会話劇で、別の組み合わせで、という風に流れていく部分が続く。TV番組の終盤で、CM→煽り→CM→煽り→CM→真相というのがあるが、まさにそれみたいな感じなのだ。
それぞれのエピソードは素直に面白かったので、長編ではなく、短編集でも良かったんじゃないかな? という気がする。
No.6336

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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それぞれ、色々な事情を抱えていて、車田、寿久辺りは冒頭からわかりやすく謎が提示される。一方で、その状況になって暗殺者は、なぜ依頼人が付いてくるのか? という疑問が浮かんでくる。また、糸口&小針、御館父娘、少女二人は何気ない会話をしているのだけど、そこで謎が提示されてくる。
それぞれの事情。それぞれのエピソードでの謎解き。それは素直に面白いと思う。車田が幽霊から依頼された謎解きは素直に本格ミステリのそれだし、暗殺者が、依頼人の少女が同行した理由を考えての結論とかも綺麗にまとまっている。さらに言えば、寿久の爆弾の話についてのひっくり返しにも「うわっ!」という感じ。それぞれについて、面白かった。
……のだけど、作中の同時進行という構成にする必要があったのかな? というのを思うのだ。
特に、それぞれのエピソード終盤で、それぞれの主人公が、それぞれの謎を解き明かすシーン。ハッキリ言えば、読みづらかった。
というのも、それぞれのエピソードが、数行でひたすらに溜めに溜めて、という感じで場面展開していくため。4行~5行くらいの会話劇で、別の組み合わせで、という風に流れていく部分が続く。TV番組の終盤で、CM→煽り→CM→煽り→CM→真相というのがあるが、まさにそれみたいな感じなのだ。
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