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公務員、中田忍の悪徳4

著者:立川浦々



突如、アリエルの元にもたらされたのは、その身分を公的に証明する書類の数々。多くの問題を解決し、エルフの社会的自立を大きく助けてくれるはずのそれは、同時に、彼女の存在を知り、公的情報すらをも動かすことが出来る存在を示唆するものでもあった。浮き彫りとなった異常。それが、アリエルを助けてきた面々の間にも亀裂を生んで……
結構、シリアスな雰囲気になってきたなぁ。
前巻で、この街にはエルフの存在を示唆するような伝承とかが残されている、というような話が登場。そんな伝承などを調べていた女子高生・環もアリエルとの邂逅を果たして……というところで、忍らよりもはるかに大きな力を持った存在がいるのではないか? という問題が。その中で、アリエルの存在を知っていた仲間たちの中に亀裂が入ってしまう。
作中、古文書からアリエルがビームを出せるのではないか? というところからやってみる。で、本当に出そうになって止める際に……とか、ギャグ描写もある。あるのだけど、どうしてもシリアスという印象の方が強くなる。
由奈曰く、「能力は凡人だが、類稀な努力で」という忍。それ自体も物凄い天才という気もするのだけど、その根底にあるのは、周囲に迷惑をかけたくない、周囲を巻き込みたくない。責任はすべて自分が取る、という責任感。しかし、アリエルの登場。様々に噴出するトラブル。そして、今回発生してしまった仲間の中の亀裂。その中で、流石の忍にも限界が……。その中で、由奈は……
責任を負う。それは、ある意味で社会人として大事なこと……ではあるんだけど、その責任を負う、というのはどういうことか? 他者を巻き込みたくない、という思いはあるかもしれないが、実際にもう巻き込まれている。その中で、ただ周囲をはじいてしまう、という忍のやり方は本当に責任を負っている、ということになるのか? 今回は、職場での忍の様子とかが描かれるからこそ、その変化もわかるし、それを目の当たりにした由奈の苛立ちもわかる。アリエルの存在っていうのは超常現象みたいなものなのだけど、そこで描かれるものは、現実の人間社会でも十分に通用するもの。そういう意味で、これまで七面倒くさい思考の人間、という印象だった忍の人間性っていうのが強く描かれた巻だったな、というのを思う。
表紙は由奈が「どけ!」と忍を蹴っているわけだけど、忍の人間性を見て、その気持ちがすごくわかった。

No.6343

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Tag:小説感想ガガガ文庫立川浦々

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