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情無連盟の殺人

著者:浅ノ宮遼眞庵



徐々に感情が失われていく病「アエルズ」。その病に罹患した麻酔医・伝城栄治はある日、アエルズ罹患者で共同生活をする「情無連盟」への加入しないかと誘われる。だが、見学のために訪れたその日、罹患者たちが暮らす一軒家で連続殺人が発生してしまう。不可能状況で起きた殺人は一体、どのようにして起こされたのか?
あとがきで著者が、理を突き詰めたようなものが好き。ならば、「情」のない人間ばかりが登場する作品を描いてみよう、ということで書かれた作品だという。
確かに、このアエルズという病の設定は面白い。先に書いたように、感情が失われていく病。物欲、食欲、出世欲……などと言うような「欲」が失われ、物事を論理で考えようとする。そのため、政治家だった連盟の代表・国木田は、出世欲を失ってそれを引退。また、物欲などもないために最低限のもので生活をする。そんな状況だからこそ、一種の共産主義と言える共同生活を送ることに……
そんな中で起きた殺人。状況は、不可能状況。そもそも、感情を失った罹患者がなぜ、殺人を? そんな謎解きをしていくことに。
論理で動くからこそ、論理によって相手を誘導することが出来る。その方法を考察していく。その思考法も独特で、それを堪能することが出来たのは確か。
ただ、読んでいて一番思ったのは「感情がない」っていうのはどういうことなのだろう? ということ。本題とは違うのだけど。
というのも、論理で動く。これ自体はわかりやすいのだけど、その論理を導くには知識とか、経験とか、そういうものが必要になるはず。作中の人々は、それなりの人生経験を積んでいる人間がいるのけど、その論理の前提となる知識を有していない、とか、そういうことだってあるはず。また、「低い可能性でも、あり得るのならば」というのだけど、例えば99.9%違っているけれども、0ではない、として「同じように」評価することは果たして論理的なのか? そういうことをずっと考えてしまった。この辺りをまた、「合理性を優先する」と「すべての可能性を考える」というのは違う、と言えばそうなのだろうし、本編と関係のないことなのは事実だけど。
ともかく、その真相などは、この設定だからこそ成立した物語であるのは確か。その設定について色々と考えた、っていうのも作品に惹かれたから、ってことで。

No.6347

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Tag:小説感想浅ノ宮遼眞庵

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