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死神と天使の円舞曲

著者:知念実希人



死者を地縛霊にせず、主の元へ帰すべく天界から猫の肉体をもって使わされたクロと、犬の肉体をもって使わされたレオ。近頃、二人の周囲では不審火事件が相次いでいる。裏山で、人魂が、といううわさを聞いたクロは、調査のためにそこへ赴くが自殺しようとしている青年を発見し……
『優しい死神の飼い方』、『黒猫の小夜曲』に続くシリーズ第3作。
今回は3部構成で、第1章が粗筋で書いた話でクロが主役の物語。第2章がレオが主役の物語、それぞれ、関りはあるけど別の物語、として描かれ、第3章でそれぞれが協力して……という構成。
第1章は、クロが発見した自殺しようとしていた青年の物語。高校卒業後、東京へ有名レストランに修行へと行った青年。結婚し、一緒に東京へというプロポーズをし、恋人も承諾してくれた……はずだった。だが、恋人の両親の反対にあって断念。一人前になったら、という約束を交わし、その夢も叶った。しかし、故郷へ戻るとその恋人には夫と子供が……。自分は裏切られていたのか? しかも、その元恋人が自分のせいで死んだ、と聞かされて……
一方、第2章ではレオが暮らすホスピスに、一人の末期感患者の女性がやってきた。幼い娘を持つ彼女は、近頃、娘が奇妙な体調不良を抱えていることが気にかかっている。両親、従兄弟。同居する家族の誰かが娘を虐待? 児童相談所まで動き出している中、娘を遺して……という未練を抱えているのだが……
第1章、第2章の相手には、それぞれ繋がりがあるのは明らかで、その未練を解きほぐす。まぁ、著者の作品らしく医療系のネタで来るので、何となくパターンとして「こうだろう」というのはわかるのだけど、ある種の若気の至り、それが回りまわってのすれ違いを解きほぐす展開は素直に面白かった。そして、それぞれが問題を解決した、と思ったところでの不審火騒ぎが……
主人公であるクロ、レオがそれぞれ抱えた思いとか、そういうのを考えれば、こういうパターンもあってしかるべきなんだよな。これはシリーズを重ねたからこそ、のエピソードだと思う。ただ、かなり下種な話だし、また、終盤はちょっと異能バトルというか、そういう感じになってしまったような気はする。ある程度、謎解きがパターン化していると感じたとはいえ、第1章、第2章が楽しめただけに、両者が手を取り合って、という第3章の決着のさせ方に一工夫ほしかった。

No.6349

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Tag:小説感想知念実希人

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