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棘の家

著者:中山七里



事なかれ主義の中学教師・穂刈。そんな彼の元に届いたのは、小6の娘がいじめを苦にしての飛び降り自殺を図り、重傷を負った、というもの。一瞬にしていじめ被害者の親となってしまった穂刈。妻は加害者の責任を追及し、中学生の息子は彼を非難する。そんな中、加害者児童についての情報がネットに拡散。さらに、その加害者児童が何者かに殺害され……
うーん……序盤は面白かったんだけど、終盤は失速したかな? という感じ。
いじめによって娘が自殺未遂を。そのことで起こるアレコレ。しかし、そんな事件を前にしても、煮え切らない態度の娘の学校の面々。証言などがあっても、「確認できない」と逃げる学校。しかし、そんなことはない、と憤る妻。穂刈は、というと、自分が教師であり、学校の責任とか、「イジメがあってはならない」というような世間の言葉から、相手の学校の態度も理解できないではない。しかし、そんな態度だからこそ、妻からはなじられ、息子は皮肉な目で見られてしまう。体面を取り繕う学校の問題とか、そういうのをしっかりと描いていて、面白かった。
そして、そんな中、加害者の情報がネットに流出。テレビでも学校の責任を問うような報道が出るが、その加害者児童が殺害され、長男が警察に連れていかれる。そして、世間は態度は一転、穂刈一家を攻撃し始めて……となっていくのだけど、ここから一気に失速。
世間の態度が一転……というのだけど、なぜかそこで描かれるのはネットやらマスコミだけ。勿論、これだけ注目される状態になるとネットやらマスコミやらも騒ぐとは思う。思うんだけど、それ以上に、ご近所関係とか、娘・息子の学校関係だとかでも色々とあると思うのだけど、そういう描写は一切ない。わずかに、穂刈の職場である学校で休職を持ち掛けられる程度。しかも、マスコミの取材が……っていう描写、過去の作品でも全く同じような描写が何度も描かれているので、既視感ばかりを覚える。
さらに、息子は殺人犯なのか? というところから、彼が誰かをかばっているとしたら……と思考を進めていくのだけど、物語終盤になっていきなりポッと出で、妻が秘密を抱えているというのが出てきたりして、「え?」という感じに。後味の悪い結末、っていうのは別に構わないのだけど、そこに至るまでの伏線がほとんどないので、すごくとってつけた感じがするのだ。しかも、穂刈自身が教員として黙殺していたいじめとかはそのままだし。
途中までは面白かったのだけど、中盤以降、完全に失速した感じがする。

No.6350

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Tag:小説感想中山七里

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