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偏愛執事の悪魔ルポ

著者:綾里けいし



悪魔である夜助が心酔するのは、自分が仕える春風家の令嬢・琴音。だが、天使の様な人格を持つ琴音は、神からも将来の「天使」候補と目されている。主人である琴音を愛しながらも、未来の天敵となってほしくない夜助は、犯罪被災体質の琴音が事件に巻き込まれるたび、悪魔的に手を差し伸べるのだが……
なんか、表紙イラストの夜助、イケメン過ぎないか? なんか、すごく格好良い活躍をしそうだな、と最初のページを開くと出てくる文章は「ご主人様とは、いい匂いのするものだ」という一言から始まる変態的な独白文。そして、1頁半ほどの分量で語られ、本編に入っての最初の文章は「突然だが、私、夜助は椅子になっていた」の一言。この二つの書き出しで、この作品のカラーがすべてわかる、というとてつもない導入になっている。
で、物語は、前半は各章ごとに琴音と夜助が事件に巻き込まれ、まず、夜助が真相を考察し、その上で琴音を天使にさせないために、人間に絶望させるために動く……という妄想をするが、琴音が超ポジティヴな解釈を通して事件を解決する、という流れ。そして、後半では、複数の章を結んでより大きな事件に……となっている。
ということで、形の上ではミステリーということになっているのだけど、語り部である夜助の変態的な独白多めのラブコメという印象が強いかな、と。
上に書いたように、琴音を天使にさせないよう、人類に絶望させたい、という思いを抱いているのだけど、結局、それをやって琴音が苦しむ、という姿を想像すると実行することもできない。そのために、あくまでも妄想にとどめ、どうしようか? と悩む。そんな中で、琴音が別の解釈を披露して……というのは、夜助が悪魔と言いながらも、決して悪人とか、そういう人物ではないことを示している、ということになる。そして、そんな中での琴音の推理を聞いて、より深くほれ込んでいく。その部分の味こそが、この作品の読みどころだよな、と思う。
……という風に書くと、琴音がすごくまともで、普通の人のように思えるんだけど、よくよく考えるとこっちはこっちで、大分、アレな人物だった李はする。相手のことをものすごく信用して、とか、そういうところはともかくとしても、冒頭の「椅子」になっている夜助に当たり前に座って、とかってこっちはこっちでやっぱり変態的要素がないと出来ないのでは? 著者の作品は何作か読んできたけど、ちょっと考えてみると、著者らしい(?)ナチュラルに狂った世界観を楽しむ作品、ともいえるのだな、と感じられた。

No.6353

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Tag:小説感想講談社タイガ綾里けいし

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