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ケーキ王子の名推理6

著者:七月隆文



季節は12月。未羽は、恋人である颯人から少し早いクリスマスプレゼントとして、アドベントカレンダーを貰う。クリスマスまでのカレンダーであるそこには、毎日、一つのプレゼントが。そして、イヴである24日には、「その日に使うもの」が入っているというのだが……(『アドベントカレンダー』)
など、連作短編形式で綴られる物語。
タイトルには「名推理」とあるのだけど……推理をほとんどしてないぞ!
で、粗筋でも書いた1編目は……「イヴに使うもの」として入っていたものがソレだとしたら、そりゃ、誰でも「えっ!?」と思うわ! 颯人のサプライズ企画、ってことなんだろうけど、他にやり方はあるはず。多分、読者のほとんどが颯人は特殊な性的嗜好を持っている人!? と思うはず。
作中、唯一、颯人が推理をして見せるのが3編目『パンケーキ』。二人がバイトをするパティスリーに閉店後に訪れた女性。彼女は、記憶喪失の男性を拾い、同棲しているというのだが、その男性は奇妙な行動をとっている、という……。記憶喪失の外国人男性を拾う、っていう設定はかなり突飛な設定だとは思うのだけど、確かに、これでなければ成立しないよな、とも思う。ある日、パンケーキを食べたい、と言ったかと思うと、翌日にはそれを食べようとはしない。また別の日は……。それが意味しているものは? という謎。考えてみれば、いくら日本化した、とはいえ西洋文化がルーツ。そこを解きほぐすと……というのは颯人だからこそ、だろう。
そして、4編目『ポン・ヌフ』。コンテストに向けての準備に余念がない颯人。その頃、未羽はスイーツに関する投稿が話題を呼び、WEBrあいたーをしないか? と誘われて……
細かな内容は書かないけれども、何かを作る、ということについて絶対にあることだと思う。皆が、「素晴らしい」と言っても本人にとっては不本意なケース。自分の作ったものとは関係がないファクターによって評判であるとか、そういうものが変わってしまうというケース。こういうのは多々あること。
まぁ、菓子職人、料理人なんかはそれでも、食べるって行為を介するんだろうけど、芸術とかそういうのは別のファクターが大きそうな気がする。まして、未羽が体験したライター業とかは……。未羽が今回の話で「颯人の気持ちがわかった」とあるのだけど、ある意味では、未羽は颯人以上に、そういうのを感じる世界に入ったんじゃないだろうか?

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Tag:小説感想新潮文庫nex七月隆文

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