fc2ブログ

現実でラブコメできないとだれが決めた?6

著者:初鹿野創



一通のラブレターから始まった物語。残るは、メインヒロインとした少女。一度の挫折を経て、改めて文化祭の成功へと向けて動き出す耕平。仲間たちに声をかけ、ひそかに動き出す耕平に対し、それを阻止し「普通の」学園生活に戻したい清里芽衣もまた、動き出し……
シリーズ完結編。
まず、手に取って思うのは……ぶ、分厚い……。600頁超という大ボリュームがあるからなぁ。ただ、そのボリュームがあるからこその話であるのは間違いない。
物語のスタートは夏休み。理想の「文化祭」を行うため、生徒会との折衝、さらに、クラスメイトである勝沼らへの協力要請などなど。しかも、その交渉の切り札として、前巻、彩乃の父に協力を求めて作ったあるアプリを用いて……。そんな耕平の頼みに、それぞれが協力を承諾する。
この辺りで、すでにここまでのエピソードと違う、というのを感じる。というのも、基本、耕平、彩乃視点が中心であった物語が数多くの視点で綴られ、学校などの交渉シーンが描かれていく。そして、中には、自分の客観的な評価を落とすことすら辞さない行動を取るものも。そこまでして、皆が文化祭を……。これは、ここまでの耕平の行動の成果。しかし、それを芽衣は阻止しようとして……での謀略戦(?)
過去のトラウマに囚われた芽衣。決して表立って、ではなく、ひそかに問題の指摘などをしたりして、「普通の」文化祭へと導こうとする。それは、失敗もあるが、いくつかは成功し、概ね芽衣の思惑の方向へも行くが……
これまでのエピソードで中心に描かれた人々の思わぬ行動。さらには、芽衣の情報源となる人物の中に生まれる迷い。何よりも、そんな芽衣の策にもかかわらず、少しずつ耕平の思惑の方向へと動き出していく。繰り返しになるけど、間違いなく、ここまでの物語で耕平が多くの生徒に「理想」を浸透させ、自から楽しもうという方向へと進んだ結果なんだよな。しかし、そうなると再び芽衣は……
芽衣が仕掛けた最後の策略。それをひっくり返したのは、実は! という展開。そして、完全に孤立したと思った芽衣の前に現われた耕平の言葉。
誰も傷つけない。皆が楽しいと思える学園生活。そこに例外は許されない。当然、そこには芽衣も。
5巻とか、耕平自身も挫折をして、という描写があったわけだけど、だからこその説得力だし、耕平の器の大きさとか、そういうのも感じる。そして、本当に理想が実現して……の大団円。ここまで5巻で築かれたもの。そして、6巻の、このボリュームだからこそ、すべてを書き切れたのだと思う。
大満足な最終巻だった。

No.6359

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



Tag:小説感想ガガガ文庫初鹿野創

COMMENT 0