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生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ

著者:知念実希人



移植のために輸送中のコーディネーターが襲われ、臓器が奪われる。そんな事件が頻発。そして、その事件は天医会総合病院でも! 警察による事件捜査が行われる中、天久鷹央は折り合いの悪い叔父からの依頼により、その調査に乗り出すのだが……
シリーズ第13作となる長編。元々は短編集だったシリーズなのに、すっかり長編メインのシリーズになったなあ……
ということで、移植に回されるはずだった臓器が何者かに奪われた。その犯人探しをする、という話。その中で、物語は大きく3章構成。
まず、最初に取り組んだのは、コーディネーターを襲い、臓器を奪った犯人は誰で、どこに臓器が隠されたのか? という点。臓器が奪われはしたものの、その奪った犯人が病院から出た様子はない。そもそも、そういう情報はどこから漏れたのか? そんな中で、鷹央が導き出した答えは……。病院という空間。そこに集まるのは、医師などの医療関係者と患者……だけでなく、様々な存在がいる。薬品や器具を納入する業者、清掃業者、病院食の業者……。そういうものの中で、「隠し場所」を持っていて、なおかつ、情報を手にれられる存在と言えば……。第1章は、ハウダニットのミステリとして面白かった。
で、その隠し場所を発見したが、実行犯は不可解な死を遂げる。当然、その背後には黒幕がいるはず。その黒幕は……
今度は、ホワイダニットを中心とした謎解きへ。移植されるべき臓器を奪った理由は何か? しかも、同様の事件を沢山。それは一体、何のためなのか? そのカギとなるのは関係者のプロフィール……
ある意味でいうと、臓器移植というのは、非常に理を優先した方法だ、というのを思う。何らかの理由で命を落とすものがいる。しかし、その人の臓器などは全てがその機能を失ったわけではない。その臓器を使えば、救える命もある。勿論、臓器移植の場合、ドナーとなる人物が「他の人のために」という意思を持っているだろう。でも、よくよく考えてみると、電気屋さんとかが、壊れた家電などももらい、そのパーツを転用して修理をする。それに近いものを感じる。黒幕のやったことは確かに許されないことだけど、でも、そう考える、というのも決して否定できないように思う。
……ということで、事件は解決したと思われたが……での第3章。
病気とか、そういう話なども出てくるのだけど、ここで明かされるもう一つの真実は、ただただ苦い。目的自体はわからないでもないが、しかし、そのために、そんなことを……。その狂気とでもいうべきものが印象に残った。

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Tag:小説感想新潮文庫nex知念実希人

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