著者:和泉弐式


「今日、君に不幸なことが起きなかった?」 存在感がなく、クラスでも浮いた存在である上賀茂京四郎は、学園の聖女と言われる先輩・沙倉冥に声をかけられる。彼女は、実は黒魔術を研究しており、依頼によって京四郎を呪ったのだという。それ以来、冥先輩は、京四郎を黒魔術の実験台としようとしてきて……
これ、続巻あるよね? そうでないと、中途半端になってしまうだけに。
物語は、プロローグで主人公が、誰かにプロポーズをしに行く、というところから始まる。そして、本編に入り、冒頭に書いたところへ……
「聖女」と呼ばれる先輩・佐倉冥。ミッション系高校に通う教会の娘。誰にでも優しく、そして、困った人には手を差し伸べる。そんな姿から、周囲から、聖女と呼ばれるように。しかし、そんな彼女は、実は黒魔術をしたい、という願いを持っていて、それを使った依頼も受けている。ただし、それが成功したことはない。そんな中で、京四郎を呪ってほしい、という依頼を受け、実行。そして、その結果がどうなったのかを確かめるために接触して……というところが冒頭のシーン。
そんなことからわかるように、基本的に冥先輩は結構、ポンコツ。そして、困った様子の冥に「昼食のラーメンが伸びた」という不幸(?)を言ったことから成功例ととらえられ、実験台になることに。さらに、その自分を呪うよう依頼した相手を探すことに……
と、スタート時点ではポンコツな冥と、存在感のない京四郎の出会いから始まり、その後も、キャラクター設定はかなり極端にはなっている。ただ、極端な設定になってはいるのだけど、その上でのそれぞれの感情などは実に丁寧。
存在感がなく、ぼっちな京四郎。そんな自分の存在を認めてくれた冥。そんな冥に依頼をしたのは、孤高の天才少女と言われる氷堂。非科学的なことなど……という彼女が抱えた劣等感と、そこから生じた京四郎への(逆)恨み。そして、当の冥自身の抱えているもの。周囲からの「こういう存在」という評価と、本人の認識のギャップが生む苦しさ。これは、きっと誰でも持っているものだと思うし共感できるものでもあると思う。いや、先に極端と書いたけど、そういう極端な立ち位置でも、決してあり得ないレベルではないし、むしろ、そういう突出した存在だからこそギャップに苦しむことになる。そういう部分が実に丁寧。
この巻では、主人公の京四郎。氷堂。冥。ここまでで登場した主な3人については、しっかりと掘り下げがされているのだけど、プロローグにはつながらない形。……続巻、あるよね?
No.6375

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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「今日、君に不幸なことが起きなかった?」 存在感がなく、クラスでも浮いた存在である上賀茂京四郎は、学園の聖女と言われる先輩・沙倉冥に声をかけられる。彼女は、実は黒魔術を研究しており、依頼によって京四郎を呪ったのだという。それ以来、冥先輩は、京四郎を黒魔術の実験台としようとしてきて……
これ、続巻あるよね? そうでないと、中途半端になってしまうだけに。
物語は、プロローグで主人公が、誰かにプロポーズをしに行く、というところから始まる。そして、本編に入り、冒頭に書いたところへ……
「聖女」と呼ばれる先輩・佐倉冥。ミッション系高校に通う教会の娘。誰にでも優しく、そして、困った人には手を差し伸べる。そんな姿から、周囲から、聖女と呼ばれるように。しかし、そんな彼女は、実は黒魔術をしたい、という願いを持っていて、それを使った依頼も受けている。ただし、それが成功したことはない。そんな中で、京四郎を呪ってほしい、という依頼を受け、実行。そして、その結果がどうなったのかを確かめるために接触して……というところが冒頭のシーン。
そんなことからわかるように、基本的に冥先輩は結構、ポンコツ。そして、困った様子の冥に「昼食のラーメンが伸びた」という不幸(?)を言ったことから成功例ととらえられ、実験台になることに。さらに、その自分を呪うよう依頼した相手を探すことに……
と、スタート時点ではポンコツな冥と、存在感のない京四郎の出会いから始まり、その後も、キャラクター設定はかなり極端にはなっている。ただ、極端な設定になってはいるのだけど、その上でのそれぞれの感情などは実に丁寧。
存在感がなく、ぼっちな京四郎。そんな自分の存在を認めてくれた冥。そんな冥に依頼をしたのは、孤高の天才少女と言われる氷堂。非科学的なことなど……という彼女が抱えた劣等感と、そこから生じた京四郎への(逆)恨み。そして、当の冥自身の抱えているもの。周囲からの「こういう存在」という評価と、本人の認識のギャップが生む苦しさ。これは、きっと誰でも持っているものだと思うし共感できるものでもあると思う。いや、先に極端と書いたけど、そういう極端な立ち位置でも、決してあり得ないレベルではないし、むしろ、そういう突出した存在だからこそギャップに苦しむことになる。そういう部分が実に丁寧。
この巻では、主人公の京四郎。氷堂。冥。ここまでで登場した主な3人については、しっかりと掘り下げがされているのだけど、プロローグにはつながらない形。……続巻、あるよね?
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