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ロストマンの弾丸3

著者:水田陽



悪党が集う街、ロストマンズ・キャンプ。未那は、覆面のヒーロー・ビークスヘッドとして活動をするが、その活動はだんだんと受け入れられてきていた。そんな中、フェスイベントで握手会をすることとなった未那は、そこで金属を自在に操る異能の持ち主・フォーツーと出会う。彼女と「友達」となった未那だが、フォーツーは、両親の仇として東を狙っていて……
シリーズ完結編。
「覚悟」を巡る物語なのかな? 最終巻の印象としては。
地道な活動を通して、街に受け入れらてきた未那。しかし、その活動は、親友である操には秘密のまま。そんなときに、フォーツーとの出会い、そして、彼女の東への襲撃の中で、その行動が操にバレてしまう。危険なことをしてほしくない、という操の思いは汲み取りつつも、しかし、自分がしたいことは、という中での葛藤。一方で、東を守りたい、という思いと、フォーツーも決して悪い人間ではないとわかっている。その中で、自分はどうすれば良いのか? という葛藤。そんな中で、マフィアが出した新たなる秩序体制の宣言。
方法がないわけではない。しかし、その方法を取る、ということは、未那が常にマフィアに命を狙われる存在になる、ということ。そんな危機に対し、どう振舞うべきなのか?
一方の東。彼がフォーツーの父を殺した、という事実はない。そして、東と父、両者は別組織の人間であったが、その中で培われた絆が確かにあった。その絆こそが……
様々な困難情況。危機的状況を抱えた面々。何かを選ぶ、ということは、何かを選ばない、ということ。その時、彼らの選択にあるのは、そのリスクを抱えても……という思い。3巻ではほとんど登場しなかった2巻の敵である磯良の存在とか、そういう過去のエピソードなどもしっかりと物語を回収するための伏線として機能しており、これだけの状況に一区切りをつけて、というまとめ方も素直に上手いな、と思った。
もっとこの世界観での物語を読みたい、という気持ちはある。ただ、学院を卒業後、未那がどうするのか? とか、そういう部分がしっかりと描かれての結末は、これはこれでしっかりと完結したな、というのを強く思う。

No.6407

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Tag:小説感想ガガガ文庫水田陽

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