負けヒロインが多すぎる！４

著者：雨森たきび



学園祭も終わり、２学期もあと少しという１２月半ば。なぜか文芸部を狙い撃ちにしたような持ち物検査で、部のＯＢ・月之木先輩が書いたナマモノＢＬ同人誌が生徒会に没収されてしまう。生徒会長を男体化させ、温水との絡みを描いた同人誌。しかも、発行者は文芸部扱い！　もし、これが生徒会長の手に渡ったら……。志喜屋さんの協力を得て、温水は没収をした馬渕天愛星から同人誌を取り戻すことにして……
おや？　負けヒロイン要素がないぞ！　と終盤まで思っておりました！　それでも面白いのだけど。
もう、物語の入りが酷い（誉め言葉）　何しろ、ＢＬ本を没収された。しかも、その発行者は勝手に文芸部扱いという、完全に貰い事故。しかも、そのＢＬ本の登場人物が自分自身。それを取り戻す、ってどんな罰ゲームですかいな！　そんな中で、志喜屋さんが協力してくれることになり……
没収をした役員・天愛星。名前だけ見ると、なんか派手なお嬢様っぽい名前だけど、ザ生徒会役員という感じのお堅い雰囲気の少女。でも、だからこそ、というか滅茶苦茶に初心で……ハッキリ言ってチョロい。志喜屋さんの協力などもあり、気づけばアッサリ。そんな中、天愛星からは逆に、月之木と志喜屋の関係をとりなしてほしい、と言われ……
元々、月之木と志喜屋は一緒に過ごしていた仲。しかし、ある時から二人は袂を分かつことに……。そんな二人の間に何があったのか？　そして……
完全に変人枠の月之木と、何を考えているのかわからない志喜屋。なぜか、デートだの何だのに付き合わされながらも、二人の関係の修復に奔走するという話になっていって……
今回のエピソードは、志喜屋のキャラクターがあったからこそ成り立つ話なのだと納得。前の段落で、何を考えているのかわからない、と書いたのだけど、倫理観とか、そういうものからちょっとズれた存在。そんな彼女が、起こしてしまったこと。それがなぜ、起きたのか？　彼女の不思議ちゃんっぷりを描き、だからこそ、という納得感を得られた。そして、その部分も含めて、今回の話は「負けヒロイン」とは違うな、という印象。
と、（内容としては色々とツッコミどころありだけど）綺麗な話でまとまったな……と思ったら……
最後の最後で、物凄い「負けヒロイン」要素をぶっこんできやがった！

Ｎｏ．６４１５


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