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(書評)監禁

著者:福田栄一

監禁 (講談社ノベルス フL- 1)監禁 (講談社ノベルス フL- 1)
(2007/06/08)
福田 栄一

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「助けてくれ、カンキンされている 警察に連絡を」 リサイクルショップで働く美哉は、仕入れた机の中から、そう書かれた1枚の紙切れを見つける。「悪戯」 と言う周囲の声を押しのけ、一人、調べてみることに…。家を飛び出し、一人で暮らしてきた女性・棗との婚約を決めた義人。だが、叔父夫婦の希望もあり、棗の両親と結納を交わすことに。連絡を断った両親を探すことにするのだが…。トラブルで会社を飛び出し、食うにも困っている青年・泰男。そんなとき、ふと出会った老婆に「命を狙われているから、助けて欲しい」と持ちかけられ…
『監禁』と言うおどろおどろしいタイトルの本作であるが、冒頭に書いたよう、それを示唆するのは美哉の物語から。3つの物語が平行して進行する形のパズラー作品。
どういう風に書けば良いだろうか、とちょっと悩む。というのは、3つの物語そのものの組み合わせ、そして、関係性で物語の全体像がハッキリする、と言うタイプの作品であり、それも一気に、というよりはジワジワと全体像がにじみ出てくるように繋がるため、物語の内容を話すこと自体がネタバレにつながりかねないため。
私がこれまで読んだ著者の作品と言うと『A HAPPY LUCKY MAN』など、どちらかと言うと明るい、ユーモラスな雰囲気の作品が主であるが、本作はその冒頭から暗い雰囲気をまとう。関係のなさそうな物語2編も次第に不穏な空気が流れ、そして、少しずつ繋がっていく。タイプは違うものの、3つもの物語が重なり合ってくスピード感は面白い。
ただ、終盤、事件の真相が判明してくる段になって、都合の良い形で情報提供者が現れたり…というのはちょっと気になる。また、最後があまりにアッサリとしているのも勿体無い。これだけ大掛かりな事件なら、首謀者一人についてで完結するとは考えづらく、周囲についても書いて欲しかった。いくつかの部分が投げっぱなしになってしまっている。
序盤からどんどんと読み込めただけに、余計に最後のアッサリとしすぎているのが惜しい。

通算1298冊目

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