姫騎士様のヒモ３

著者：白金透



魔物の大量発生――スタンピード。大迷宮内に取り残されてしまったアルウィン。太陽神の呪いにより、迷宮内では全くの非力状態のマシューは、それでもアルウィン救出隊に加わることにするのだが……
ここまでの２巻とは趣の異なる話に仕上げてきたな、というのがまず思ったこと。
これまでのエピソードでは、あくまでも迷宮攻略はアルウィン。しかし、その中でアルウィンは、実は迷宮病を抱え、それを克服しようとして……という部分があり、そのことを隠ぺいするために、地上でのイザコザに対応する、というのが主眼。それに対し、今回は、迷宮で孤立状態となってしまったアルウィンの救助隊に加わって、という話。まぁ、アイテムによって、ある程度は本来の戦闘能力を出せるとはいえ……
ともかく、そんな状況で迷宮に挑み、そこで「伝道師」と闘うアルウィンを発見。だが、そのアルウィンは……。何とか、伝道師は撃退するが……
ここまで、何とか抑えていた迷宮病が完全に再発したアルウィン。迷宮に行くことが出来ない、というその状況の中、アルウィンの存在に対して忌々しい思いをしていた存在たちは、これを好機とみてアルウィンへの襲撃を開始する。戦うことの出来なくなったアルウィン。その状況をどうにかせねばならない。そこでアルウィンが取ったのは……
アルウィンが迷宮探索を行う理由である故郷の復興。その故郷の現状。その中で、アルウィンに希望を取り戻させるために奮闘するが……
１巻の段階で、アルウィンが迷宮病を抱えていて、というのは読者には明白だった情報。ただ、１巻の段階では、そういう過去があって、今はマシューの手によって、それは表向き、克服できている、という形で描かれるのみ。しかし、今回は、迷宮内で、文字通り、命を落としそうになった、ということが引き金となって完全に再発。まぁ、現実の社会でも、事故とかがトラウマになって、というのはあるわけで、そういうのはある意味、自然なことなのだろう。そして、その迷宮病を再発したアルウィンは……かなり厄介な状況だなあ。実際、ＰＴＳＤとかでフラッシュバックしたら……
今回は、マシューが、本来の力を使ってのアクションシーン多め。その状況の中で、言動は色々とあっても、アルウィンを助けたい、という部分と、そのアルウィンの迷宮病とは何ぞや？　というのをこれでもかと掘り下げた話だった、と言えよう。

Ｎｏ．６４２４


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