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腕を失くした璃々栖 ~明治悪魔祓師異譚~

著者:明治サブ



「人の子よ、そなたに第二の心臓を呉れてやろう。その代わり――予と煉獄の先の覇道へ、ともに征こうぞ」 明治36年11月1日、神戸外国人居留地。若干13歳ながら、軍の単騎少佐である悪魔祓師の皆無は、心臓を貫かれた。そんな彼を救ったのは、七つの大罪に名を連ねる悪魔にして、左腕のない少女・璃々栖だった。皆無は、悪魔の力と引き換えに、璃々栖と一蓮托生の運命となり……
第27回スニーカー大賞・金賞受賞作。
うーん……まずいうと、序盤はかなり読みづらい、というのを感じた。それは、明治時代のように、外国語に当て字をする、ということであるため、ルビを振った文字が大量に。さらに、物語の綴り方に関しても、時間軸で切り分けて、さらに皆無だけでなく、父の視点など、いくつかの視点が交錯するため序盤はちょっと入り込みづらかった。
……が、粗筋で書いたように、璃々栖によって命を救われ、二人でのやり取りとかが中心になってきてからは、一気に面白くなった。
七つの大罪に名を連ねるアスモデウスである璃々栖。しかし、アスモデウスとして本来の力を取り戻すには、失われた腕を取り戻す必要がある。その腕を二人で探す。その中で、皆無は璃々栖の使い魔として動くことに。それは、捜索だけでなく日常の世話なども。入浴であるとかの世話をさせられたり、とかである種の誘惑をしてくる皆無。当然、皆無もそういう璃々栖の行動にドギマギして……
だが、そんな中、本格的に璃々栖との契約を依頼されるが……
弱冠13歳での少佐就任と、周囲からは「神童」と言われる皆無だが、偉大過ぎる父親と比較し、本人は劣等感の塊。そんな皆無の心境。そんな皆無と共に、という璃々栖。彼女もまた、魔王とはいえ、ただの少女。そんな少女に対して皆無が抱えていた、自分でも気づいていなかった気持ち。この辺りがどんどんあふれ出てくる中盤以降は本当に面白い。
物語の中心は、異能バトルをメインに添えているのだけど、あとがきで「おねショタラブコメ」と著者が言っているのも、読み終わってみると「確かに」と納得することが出来た。

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Tag:小説感想角川スニーカー文庫明治サブ

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