著者:藤崎翔


高校生の笹森陽太は、ある日、自分が変顔をすると時間を止めることができる、という超能力を持っていることに気づく。この能力で何かできないか? そう考えた末、たどり着いたのは学校の女子の胸を触ろう、ということ。だが、クラスメイトの麗奈からは遺書のような手紙、隣のクラスの沙織からはナイフがそれぞれ胸ポケットから見つかって……
ということで、麗奈、沙織が持っていた不穏なものから、何が起きているのか? というのをひょんなことから自分の能力のことを知ったクラス一の秀才・相沢君と一緒に考えていく、という話。
まず、この作品で面白いと思ったのは、その超能力の使い道。変顔をすると時間が止められる。……とはいえ、顔の形が崩れれば(まばたきとか)、そこで時間停止は解けてしまうので長時間、というわけにはいかない。さらに、その顔を維持するためには激しい動きを伴う行動とかは無理。できるのはせいぜい数十秒くらい。さらに、それで何をするのか? 例えば、窃盗とかは時間の関係上、無理。時間停止能力を使って動画配信をする? しかし、時間停止中は画面に映らないし、瞬間移動をしても編集によるものとしか思われない。マジックという手もあるが、それは有利だけど、技術で同じようなことが出来る人は沢山いて、そのスタート地点にたどり着くだけ。……で、たどり着くのが、女子の胸を触ろう! 思考の過程が理知的なのに、オチが安直。それが、男子高校生らしくてまず笑わせてもらった。
そうした結果、胸を触った感触……ではなく、不穏なものを見つけてしまったことで、そちらを調べることに。
麗奈の持っていた手紙から察せられるのは、麗奈はイジメを受けていて自殺しようとしている? その予告の時刻に屋上へ行くと、そこにいたのは別の人物。さらに、その手紙を書いた人間は別人? だんだんと、その辺りが複雑になっていって……。そんな中で一応、その問題は解決したと思われたが、そこ裏にさらに大きな事件が待っていて……。秀才で、普段は真面目なんだけど、実は結構、むっつりスケベな相沢君との掛け合い。麗奈、沙織の問題を追いかける中で見えてくるちょっとしたやりとり、描写が裏にあった事件へと繋がっていく、という部分。この辺りは素直に上手い。流石に、犯人特定のためのミスリードは、その勘違いをするか? というレベルのものもあるにはあるのだけど。
でも、物語のまとめ方も綺麗に着地しているし、読み終えて楽しかった、という感想がまず出てきた。
No.6448

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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高校生の笹森陽太は、ある日、自分が変顔をすると時間を止めることができる、という超能力を持っていることに気づく。この能力で何かできないか? そう考えた末、たどり着いたのは学校の女子の胸を触ろう、ということ。だが、クラスメイトの麗奈からは遺書のような手紙、隣のクラスの沙織からはナイフがそれぞれ胸ポケットから見つかって……
ということで、麗奈、沙織が持っていた不穏なものから、何が起きているのか? というのをひょんなことから自分の能力のことを知ったクラス一の秀才・相沢君と一緒に考えていく、という話。
まず、この作品で面白いと思ったのは、その超能力の使い道。変顔をすると時間が止められる。……とはいえ、顔の形が崩れれば(まばたきとか)、そこで時間停止は解けてしまうので長時間、というわけにはいかない。さらに、その顔を維持するためには激しい動きを伴う行動とかは無理。できるのはせいぜい数十秒くらい。さらに、それで何をするのか? 例えば、窃盗とかは時間の関係上、無理。時間停止能力を使って動画配信をする? しかし、時間停止中は画面に映らないし、瞬間移動をしても編集によるものとしか思われない。マジックという手もあるが、それは有利だけど、技術で同じようなことが出来る人は沢山いて、そのスタート地点にたどり着くだけ。……で、たどり着くのが、女子の胸を触ろう! 思考の過程が理知的なのに、オチが安直。それが、男子高校生らしくてまず笑わせてもらった。
そうした結果、胸を触った感触……ではなく、不穏なものを見つけてしまったことで、そちらを調べることに。
麗奈の持っていた手紙から察せられるのは、麗奈はイジメを受けていて自殺しようとしている? その予告の時刻に屋上へ行くと、そこにいたのは別の人物。さらに、その手紙を書いた人間は別人? だんだんと、その辺りが複雑になっていって……。そんな中で一応、その問題は解決したと思われたが、そこ裏にさらに大きな事件が待っていて……。秀才で、普段は真面目なんだけど、実は結構、むっつりスケベな相沢君との掛け合い。麗奈、沙織の問題を追いかける中で見えてくるちょっとしたやりとり、描写が裏にあった事件へと繋がっていく、という部分。この辺りは素直に上手い。流石に、犯人特定のためのミスリードは、その勘違いをするか? というレベルのものもあるにはあるのだけど。
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