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横浜・山手図書館の書籍修復士は謎を読む

著者:宮ケ瀬水



横浜・山手図書館でアルバイトをすることとなった本好きの大学生・藤本読也。司書の手伝いをするのかと思いきや、配属されたのは図書の修復をする部署。書籍修復の主任である波々壁の助手をすることに。その波々壁は、本の修復をすると同時に、「物語にとられている人を救う」という仕事もしており……
粗筋とかを一切読まず、タイトルと著者名だけで手を出した一冊。タイトルから、本の修復に関する蘊蓄などを描きながら、その中での謎を解くという話だと思っていたんだけど……かなりガッツリとファンタジーだった。
物語としては、本の修復をする中で、「物語にとらわれた人」の情報を手に入れたり、「とらわれた人」と出会い、その人を救うために行動をする、という形で進行していく。ただし、その「とらわれた人」というのは近くにそういう人がいる、ということはわかっても、誰がそうなのかわからない。さらに、とらわれた人が、どんな本にとらわれているのか、というのを見つけ出さねば救うことができない。その誰が? 何に? それを調べることに……
第1章の事件から、いきなり人の命が失われる形の事件が起こり……とか、結構、生臭い雰囲気。そして、その後もひっくり返しとかがあるのだけど……うーん……。自分が読んでいない、古典とかが題材になっているため、ちょっと乗り切れなかったな、という印象。その中では、ミステリ的な犯人捜しをすることになる第3章の『穴』が好きかな? 訪れた開館予定の図書館で死亡していた館長。その図書館はステンドグラスが特徴なのだが、そのステンドグラスは……。図書館をどう運営するのか? さらに、運営を巡っての不正。そういう実態を知っていたのは誰か? そんな絞り込みは、いかにもミステリという感じで楽しかった。
そして、物語は、その波々壁自身の問題になって……
その謎解き自体は良いのだけど、「とらわれた人」を探るためのカギが結構、ご都合主義に感じられたりとか……ちょっとうまくいきすぎな印象。設定とかは魅力的だったのだけど、イマイチ、物語に入り込めなかった。

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Tag:小説感想宮ヶ瀬水

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