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ばくうどの悪夢

著者:澤村伊智



東京から父の田舎である兵庫県のT台へと越してきた僕。それ以降、悪夢に悩まされるようになった僕は、現実でも身体に痣ができていることに気づく。そして、父の友人の子供たちも同様に……。やがて、そのうちの一人が不審な死を遂げ、僕は父の友人で、そのような現象に詳しい野崎と、その妻・真琴に相談をするのだが……
野崎、真琴のシリーズ……と書こうと思ったのだけど、世間では「比嘉姉妹シリーズ」という方が浸透しているのか……
で、本作はかなり独特の構成をしている話と言える。物語の背景として、まず、主人公である僕の住む町の近くにある病院では、そこに押し入った人間によって多くの人々が殺された、という惨劇が起きている。一方、僕自身は父の友人たちで作るグループの会合に加わるのが嫌で仕方がなかった。そんなときに発覚した夢に応じて、身体に痣が、という事態に……
夢に応じて殺されてしまう。そんな状況について、野崎夫妻に相談をし、一度は落ち着いたと思ったが……で、物語は全く違う様相を見せて……
正直なところ、この構成は結構、評価が分かれそうな気がする。ある意味、この後半に入って明かされる部分は、禁じ手みたいなところがあるし、多少、同じことの繰り返しみたいに感じるところもあるし。
ただ、その禁じ手を使ってから描かれるキーパーソンの抱えている劣等感とかは、同じように田舎出身者として思うところがあったり。自分自身、ここまで極端には思わないけど、色々とあの空気は……っていうのがあるからなぁ。もし、この人物のような状況になってしまったら……と思うと結構、身につまされる。そして、そういう事情が分かった上で、いよいよ、その悪夢退治へ……
……えっと……
これで終わっちゃって良いの? というのがまず最初に。
このシリーズって、著者の看板シリーズとでもいえるもののはず。この終わり方で、今後もシリーズを続けられるの?
いや、それは自分がどうこう言うことじゃない、っていうのはわかっているんだけどさ……

No.6500

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Tag:小説感想澤村伊智

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