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呪われて、純愛。2

著者:二丸修一



事故で記憶を失った廻の前に現れた「恋人」の白雪と、「本当の恋人」の魔子。記憶を取り戻す中で、廻は、自分の過去、そして、魔子との関係性に気づいていく。表の関係、裏の関係。そんな関係性の中で表向きは平穏な日々を取り繕っているのだが……
前巻の感想として、プロローグが終わった感じ、というものを書いたのだけど、当然、そこから始まるのは関係性の崩壊というもの。
表面上は平穏な日々を送る3人。
「本当の恋人であればよい」という魔子。そんな魔子の言葉もあり、「表の恋人」である白雪とのデートなどをする廻。だが、そのデートの帰りに、廻を待っていたのは、嫉妬を隠し切れない魔子。そして、そんな姿を白雪に見られてしまう。そして、3人の関係は崩壊が始まって……
第1巻の物語の中で、廻が魔子の家へと引き取られ、しかし、そのことが引き金となって魔子の家が崩壊したという過程。その中で、魔子と廻がある意味での共依存というような状況になってしまった。親友である魔子と白雪。しかし、廻に対する関係は裏でどろどろになっていて……。純粋に廻が想いを抱いているのは白雪。しかし、魔子との関係性を断ち切ることもできない。白雪にその関係性がバレてしまう中で、それぞれがとった決断は……
1巻冒頭から、ある意味、その名前のように「魔女」のような言動をとってきた魔子。一方、彼女が憧れた、純粋無垢と言える白雪。しかし、白雪の中にも譲れないものはある。あきらめる、という選択肢はなく、廻のすべてを手に入れる、という思いを抱いている。そして、そんな状況から明らかになったのは、なぜ廻が事故にあい、記憶を失ったのか、という物語の発端部分の真相。
この辺りの廻の記憶が戻っていくとともに、そのドロドロの関係性。それぞれの人間性が露になっていく様は相変わらず。特に、今回は白雪の純粋無垢さの裏にあるしたたかさ、というのが強く印象に残る。一方での流されるままの廻の弱さみたいなものも。でも、実際にそういう立場になれば、そんなものじゃないか、という感じもするから、彼が情けないとか、そういう感じでもないかな。
ただ、物語の締め方はちょっとあっけなかったような気もする。2巻で一区切り、ということで、ちょっと駆け足になってしまった、とでもいうか。もう少しボリュームがあれば、より味わい深かったのかな? でも、そうすると、「純愛」じゃなくて、本当にドロドロの三角関係モノになりそうで、そこは悩ましいところかも。

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Tag:小説感想電撃文庫二丸修一

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