著者:大森藤ノ


迷宮からモンスターを呼び出し、オラリオを破壊せんとする闇派閥と、それを迎え撃つ冒険者たち。計略を巡らせる双方の中、それぞれは自らの持つ力を尽くし、戦いへと挑む。『最悪の七日間』最大の決戦が今、始まろうとしていた……
シリーズ前日譚であるアストレア・レコードの物語完結編。
いや~……面白かった!
不穏な雰囲気を漂わせつつ、戦いの前日譚から、闇派閥の蜂起によってすべてが危機的状況に陥る第1巻。絶望的な状況に心を折られそうになりながらも、冒険者たちが集結し、わずかな希望の光も見えてきた第2巻。そして、その決着へという大決戦の本作。当然のことながら、この戦いの結末は、何とか冒険者が状況を打破する、というのは最初から分かっているのだけど、希望が見えた状況からの戦いが滅茶苦茶に激戦。
物語は、地上のオラリオでの決戦。そして、ダンジョン内での決戦。その双方が描かれる。
地上での決戦を指揮するのは、ロキ・ファミリア団長のフィン。町を守る、という指名を帯びながらも、敵の指揮官の考えを熟知する彼は常に最悪を想定する。そして、「英雄」の仮面をかぶり、時に非常ともいえる指揮をしていく。犠牲が出ること、それは想定済み。それでも町を守るためには……。そんな非情の指揮を受け、何よりも力を発揮するのは第一線を退いたはずの老兵たち。「仕方がない」 そう割り切りつつも、自らを踏み台にしてでもという老兵たちの覚悟に一瞬、その仮面がはがれてしまうシーンが印象的。
一方、その地上への侵攻の中心となった闇に落ちた元一級冒険者ザルド。彼を迎え撃つのはフレイア・ファミリアのオッタル。現在、オラリオ最強とはいえ、ただひたすらに敗北をそ、数々の屈辱を味わってきたオッタル。相手のザルドには決して叶わなかった。しかし、その敗北をし、屈辱を味わいながらも研鑽を重ねてきたオッタルの意地。オッタル、フレイア・ファミリアの話については、過去にフレイア・ファミリアの外伝で多少、触れられていたけど、今回はその凄まじさをこれでもかと実感できる。そして、ベル君視点の本編とはまた違った印象も。
そして、地下での決戦に挑むアストレア・ファミリアらと、対峙するエレボス。
激戦に次ぐ激戦の中、やはり問われるのは2巻でリューが悩み続けることになる「正義とは何か?」。しかし、危機も、絶望も味わい尽くした先の彼女には……
前半に描かれる地上での決戦。時に非情な采配をしながらも、というフィンの姿。辛酸をなめ続けながらも、自らを信じてきたオッタル。2巻で絶望を味わったからこそのリュー。それらがあるからこそ、リューの下した回答に説得力が感じられる。その上での、エレボスの本当の狙いというのも明らかになって……
リューの過去に関しては、そのあとに……っていうのがわかっているだけに、そこに至るのかとちょっと怖かったのだけど、ここではそこには至らず。とにかく、「正義とは何か?」という問いに一つの決着をつける非常に綺麗な落としどころで一安心。ただ、エレボスの真意とかを知ったら……というのが、のちの悲劇にもつながったんだろうな……というのもよくわかった。
No.6539

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。
迷宮からモンスターを呼び出し、オラリオを破壊せんとする闇派閥と、それを迎え撃つ冒険者たち。計略を巡らせる双方の中、それぞれは自らの持つ力を尽くし、戦いへと挑む。『最悪の七日間』最大の決戦が今、始まろうとしていた……
シリーズ前日譚であるアストレア・レコードの物語完結編。
いや~……面白かった!
不穏な雰囲気を漂わせつつ、戦いの前日譚から、闇派閥の蜂起によってすべてが危機的状況に陥る第1巻。絶望的な状況に心を折られそうになりながらも、冒険者たちが集結し、わずかな希望の光も見えてきた第2巻。そして、その決着へという大決戦の本作。当然のことながら、この戦いの結末は、何とか冒険者が状況を打破する、というのは最初から分かっているのだけど、希望が見えた状況からの戦いが滅茶苦茶に激戦。
物語は、地上のオラリオでの決戦。そして、ダンジョン内での決戦。その双方が描かれる。
地上での決戦を指揮するのは、ロキ・ファミリア団長のフィン。町を守る、という指名を帯びながらも、敵の指揮官の考えを熟知する彼は常に最悪を想定する。そして、「英雄」の仮面をかぶり、時に非常ともいえる指揮をしていく。犠牲が出ること、それは想定済み。それでも町を守るためには……。そんな非情の指揮を受け、何よりも力を発揮するのは第一線を退いたはずの老兵たち。「仕方がない」 そう割り切りつつも、自らを踏み台にしてでもという老兵たちの覚悟に一瞬、その仮面がはがれてしまうシーンが印象的。
一方、その地上への侵攻の中心となった闇に落ちた元一級冒険者ザルド。彼を迎え撃つのはフレイア・ファミリアのオッタル。現在、オラリオ最強とはいえ、ただひたすらに敗北をそ、数々の屈辱を味わってきたオッタル。相手のザルドには決して叶わなかった。しかし、その敗北をし、屈辱を味わいながらも研鑽を重ねてきたオッタルの意地。オッタル、フレイア・ファミリアの話については、過去にフレイア・ファミリアの外伝で多少、触れられていたけど、今回はその凄まじさをこれでもかと実感できる。そして、ベル君視点の本編とはまた違った印象も。
そして、地下での決戦に挑むアストレア・ファミリアらと、対峙するエレボス。
激戦に次ぐ激戦の中、やはり問われるのは2巻でリューが悩み続けることになる「正義とは何か?」。しかし、危機も、絶望も味わい尽くした先の彼女には……
前半に描かれる地上での決戦。時に非情な采配をしながらも、というフィンの姿。辛酸をなめ続けながらも、自らを信じてきたオッタル。2巻で絶望を味わったからこそのリュー。それらがあるからこそ、リューの下した回答に説得力が感じられる。その上での、エレボスの本当の狙いというのも明らかになって……
リューの過去に関しては、そのあとに……っていうのがわかっているだけに、そこに至るのかとちょっと怖かったのだけど、ここではそこには至らず。とにかく、「正義とは何か?」という問いに一つの決着をつける非常に綺麗な落としどころで一安心。ただ、エレボスの真意とかを知ったら……というのが、のちの悲劇にもつながったんだろうな……というのもよくわかった。
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