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闘え! ミス・パーフェクト

著者:横関大



元厚労省のキャリア官僚であり、栗林総理の隠し子である真波莉子。様々な業務を完璧にこなし、どこにでも顔を出すフットワークの軽さからついたあだ名は「ミス・パーフェクト」。そんな彼女が、次々とトラブルを解決していく連作短編集シリーズ第2作。全4編を収録。
最初に書くと……前作の感想で、ちょっと解決につながっているのかな? と思った部分があったのだけど、この辺りは今作も少し感じるかな、と。ただ、読み終わってのスッキリ感というのは十分にあるので、読んでいて楽しいのだけど。
1編目。厚労省時代の同僚で、学生時代の知人から、その田舎である山梨県の過疎の村の活性化策を依頼される。だが、その依頼を、別の著名コンサルタントも手掛けており、プレゼンで勝敗を決めることとなって……。この村は、人口500人くらい。ほとんどは高齢者。そんな村の活性化策は……。いろいろな問題がクロスして、というエピソードが多い中、非常にシンプル。ただ、前作の感想でも書いたのだけど、これって、カンフル剤レベルだよなぁ……。それでも、莉子の提案の方がもう一方よりも住人の要望とかを汲んだものなのは間違いないけれども。
個人的に好きなのは3編目。Vリーグの女子選手が妊娠してしまった。彼女らの立場は契約社員で、試合に出れないとなれば、そのまま解雇になってしまう。そんな状況をどうにかしてほしい、という依頼が莉子に入って……
Vリーグというプロのアスリートたちが集う場。しかし、その現状は、旧態依然としたチームの中の状況。監督は選手を名前ではなく背番号で呼び、チームは親会社からの出向ばかりでやる気なし。そんな状況にマネージャーとして加わることになった莉子は、監督の妻子を練習の現場に呼んだり、なんていう搦手で崩していく。だが、チームの有力選手に関するスキャンダルが報道されてしまう。そんな状況の中で……。
序盤のやり取りの中での搦手。さらに、1編目に出てきたコンサルタントを通じたライバルチームすらをも巻き込んでの大改革は素直に見事! 1編目のようなカンフル剤レベルではない、しっかりとした一手だし、モヤモヤ一切なしの解決策だった。
莉子が厚労省に入った際の上司が、インサイダー疑惑の中、自殺した。しかも、そのインサイダーの中で逮捕されたのは、父の内閣の大臣の息子。一大疑獄事件に発展する可能性のある中、公務員のイメージ回復策と真相解明を依頼されて……。トラブル解決という面もあるのだけど、この話は事件の真相追求というミステリ色強めの話。厚労省時代、尊敬する上司だった人物が、なぜそうなってしまったのか? そして、その裏にいたのは? 謎は解かれつつも、前作1編目のエピソードの続き、というような部分を強く感じるエピソードだった。

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Tag:小説感想横関大

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