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占い師オリハシの嘘2 偽りの罪状

著者:なみあと



芸能人なども通うという凄腕占い師・オリハシ。しかし、しばしば、オカルトなどを全く信じていない妹の奏が、その類まれな推理力を使って代理を務めていることは知られていない。そんな奏が代理を務めているある日、ネット上に「占い師オリハシは犯罪者だ」という記事がアップされる。その記事が拡散される中でも、依頼人は現れて……
という感じの第2巻。
粗筋に書いた通り、ネット上に「オリハシは犯罪者」という記事がアップされ、それが拡散されている、という背景がある。そして、その中で、女子高生占い師が、その記事拡散を推し進めている、という状況もありつつ、物語は連作短編形式で進んでいく。
1編目『血まみれの友情』。オリハシに入った依頼。それは、東京の大学に進学した友人が吸血鬼の使い魔となってしまった、というもの。そもそも、それは占いなのか? という疑問はあるのだけど……。依頼人が吸血鬼の使い魔になった、とする根拠は……昼間に行動をしておらず、顔色が悪い。一緒に買った十字架のキーホルダーを持っていなかった。そして、血をすすったような状況の彼女を目撃した、というもの。
そもそも吸血鬼って何なのか? というような話をしながらも、奏たちがとるのは、そんな彼女の行動パターンの解析。依頼人が、友人に出会った場所。大学進学にあたってのトラブル。そういうものから導き出されるのは……。このエピソードは、占いというっよりも純粋な謎解き、という印象のエピソードだった。
2編目『失われた首飾り』。女子高生占い師からの挑戦状として依頼されたのは、恋人がなくしてしまったネックレスがどこに行ってしまったのか? というもの。そして、女子高生占い師は、依頼人を幸せにすることを条件としてきて……
ネックレスがどうなったのか? というのは比較的、あっさりと判明。しかし、問題は、「依頼人を幸せにすること」という部分。真実を告げることが常に良い、というわけではない。そこで必要となるのは「何が幸せ」に繋がるのか? という部分。相手の望むものは一体何か? というところをしっかりと見抜く奏は、そういう点で「占い師」としての才能があるんじゃないかな? と感じるエピソードだった。
そして、そんな中、渦中の女子高生占い師のアカウントが乗っ取られてしまい……という3編目。ここは、1巻との繋がりも。犯人に関しては、消去法である程度、わかるのだけど、カリスマとして持ち上げられる存在と、それを利用する者という構図。奏に持ち掛けられる誘惑。しかし……。2編目で「相手が望むもの」というのが出てくるのだけど、ここがしっかりと活きている流れは見事。そういう意味でも、相手は桜区は得意でも……ということだったのだろう。
帯で書かれているほどに、オリハシは詐欺師だ、とか、そういう部分が強調されたわけではなかったのだけど、占い師に求められるものとか、そういう部分が掘り下げられた話になっていたように感じる。

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Tag:小説感想講談社タイガなみあと

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